
2007年9月12日11時10分(UTC, 日本時間同日20時10分)にインドネシア・スマトラ島でマグニチュード8.4(USGS)の地震が発生しました(図1)。遠地実体波を用いた震源破壊過程の解析結果を報告致します。
図1 本震の発生位置(赤色星印)と周辺で過去100年以内に発生したM7以上の地震の分布(黄色星印、2004年スマトラ地震については紫色星印)。緑線はプレート境界を示す。
・データ
IRIS及び海半球ネットワーク(IFREE)の広帯域地震計で記録された波形データ(42観測点)を使いました。観測点分布を図2に示します。
図2 解析で使用した観測点(IRIS観測点:紫色三角印、海半球ネットワーク観測点:黄色三角印)の分布。
・解析結果
地震モーメント: 0.3×10**22 Nm
モーメントマグニチュード: 8.3
断層のサイズ: 260 km × 100 km
深さ:30 km
(走向,傾斜角,すべり角):(321, 15, 99)
破壊継続時間: 96 s
最大すべり量: 3.8 m
断層面におけるすべり分布、震源時間関数、メカニズム解を図3に示します。メカニズムは低角逆断層型です。破壊は深さ約30 kmで始まり、1分以上かけて南東から北西へ破壊が進展しています。余震分布も震源から北西の地域に集中しており、主破壊は北西側で発生したと思われます(図4)。この地震により、インドネシア・パダンで1.1 mの津波の観測が報告されています。震源が深かったのが幸いしてか、規模の割に地震動・津波による被害は比較的少なくてすみました。
今回の地震について、USGSの第一報ではM7.9でしたが、その後M8.4に上方修正されました。一般に、地震の規模が大きくなると断層内での破壊も複雑となり、地震の規模を即時的に推定することが難しくなります。特に点震源を仮定した解析では規模を過小評価する危険性があるため、今回のようにその後の解析でMの値が大きく変わってしまうことがあります。大地震、巨大地震が発生した場合、初期段階では注意が必要です。
図3 断層面上のすべり分布(上図)、震源時間関数(左下図)、メカニズム解(右下図)。すべり量のコンターは1 m毎に表示。
図4 すべり分布と余震分布の位置関係。
図5 観測波形(黒線)と理論波形(赤線)の比較。
(上記結果はその後の解析で変更されることがあります)