プレート境界面のすべりの時空間発展に関するデータベース構築
名古屋大学減災連携研究センター 鷺谷 威・光井能麻
同 大学院環境学研究科 橋本千尋・伊藤武男・寺川寿子
北海道大学大学院理学研究院 勝俣 啓
文部科学省委託事業
名古屋大学減災連携研究センター 鷺谷 威・光井能麻
同 大学院環境学研究科 橋本千尋・伊藤武男・寺川寿子
北海道大学大学院理学研究院 勝俣 啓
日本列島のGPS 連続観測データから、観測点間の辺長変化を用いた新たな解析手法により、プレー ト境界のすべり遅れ分布を推定した(使用したデータは1996~2000 年のもの)。東北地方太平 洋沖地震の震源域に対応する固着域が明瞭に推定され、南海トラフでは、日向灘付近まで伸びる 巨大な固着域が推定された。これは、南海トラフ巨大地震に関する従来からの想定を見直す材料 の一つである。
中部地方におけるGPS 連続観測データの解析から、2001-2005 年の東海スロースリップ前後にお けるプレート境界のすべり遅れ分布の時空間変化を調べた。スロースリップは浜名湖の下の深さ 25-30km 程度のところで発生した(Period 2)、スロースリップが終息した2006 年以降(Period 3)も、 この範囲ではプレート間固着の回復が不十分であることが分かる。
水準測量と潮位のデータから推定した1946 年南海地震の地震時すべり(黒)と地震後 の余効すべり(緑、青)は互いに相補的な 分布をしている。豊後水道下のスロースリッ プは、余効すべりと同じ深さ範囲 (20-30km)で起きており、摩擦特性が類似 していると考えられる。
豊後水道で発生した3回のスロースリップ(1997, 2003, 2010)について、GPS データから断層すべ りの時空間分布を推定し、さらに断層面の応力変化を計算した。その結果、スロースリップの中心 部(73 番)では、すべりの増加とともに応力が減少するのに対し、周辺部(75 番)では逆に応力 が増加する傾向が、3度のイベントすべてで確認された。これより、スロースリップの振る舞いは、 断層面の摩擦特性の違いを反映し、地殻変動データの解析からその分布が推定可能であることが示 された。
地震活動の変化は、地殻の応力状態を反映する重要な情報であるが、長期的な地震活動変化を議 論するためには、慎重に吟味された均質な地震カタログが必要である。本研究では、1994 年~ 2007 年に関東・東海・東南海地域で発生したM3.3 以上の地震約5,000 個について、同一の観測 点を使い、震源とマグニチュードを再決定した。右の図は、本研究で得た均質な地震カタログの 解析から得られた、銚子付近における地震活動の静穏化(赤い部分)の様子である。