文部科学省委託事業

東海・東南海・南海地震の連動性評価研究

地震に強い社会をめざして。防災分野が連携して、東海・東南海・南海地震の連動発生を評価します。

日本語English

東北地方太平洋沖地震後の日本海溝沿いの海底地殻変動観測の強化計画
および南海トラフでの連続観測の試み

 2011 年に発生した東北地方太平洋沖地震は、多くの地震学者が想定し得なかったものであり、今後南海トラフをはじめ とする他の地震発生帯においても、同様な巨大地震の発生をあり得ることとして、対策・研究を行うことが必要となっている。 しかし、より効果的な対策をとるためには、より現実的な発生リスクの評価が望まれる。そのためには、先の地震の全 体像を正確に把握することが重要となってくる。日本海溝の特に宮城県沖は、M9 規模の地震が発生した場所としては過 去に例のないほど海底も含む観測網が充実した場所であった。そのため、地震時のすべり領域が海溝軸まで達しており、 そのすべり量も50m を超えるものであることが、かなりの確度をもって推定されている。しかし、地震時の挙動は地震サ イクルから考えると部分的なものに過ぎず、地震の全体像に迫るには、少なくとも地震後の余効変動を正確に捉える必要 がある。すでに実施している既設観測点での限定的なGPS 音響方式および圧力計による海底地殻変動観測データからは、 余効変動の分布は極めて複雑であることが示唆されている。これらのことを鑑み、東北大学では、名古屋大学と共同で 以下の研究観測を実施する予定である。
(1) 余効変動の分布を広く捉えるため、これまで手薄だった海溝軸付近の大深度域も含め、日本海溝沿いに広く20 点の 観測点を設置する。これは、平成23 年度3次補正予算によるものである。
(2) これらの多点観測を効率的に実施するため、平成25 年度までに傭船による集中観測を年に2~3回の頻度で実施する。 従来の観測より観測頻度を上げることにより、短期間で余効変動のスナップショットを捉えることを目指す。
(3) 短期間での成果が求められるため、さらに自航式ブイを導入し、複数海上局同時観測による高精度化を図る。これは、 最大2日程度自律航行・観測が可能なブイを開発し自動観測させつつ、船による別の角度からの同時測距を行うものであ る。自航式ブイ自体の技術は、将来の無人観測化へも繋がるものである。

一方、GPS 音響方式の海底地殻変動観測は、基本的に船舶によるキャンペーン観測であり、変 動の様子自体が大きく時間変化する現象を捉えるのには不向きである。また、地震時に地殻変動 を即座に捉え陸上へ伝えるためには、常時観測していることが必要である。電源の確保、データ の伝送など克服すべき課題は多いが、常時観測を実現するためには、観測ブイ自体を係留し長期 連続観測を行う必要があり、今年度中には以下のことを実施する。
(4) JAMSTEC の圧力津波観測、JAXA のGPS 津波観測と、東北大学の音響測距による海底地殻 変動観測を一つのm-Triton ブイに搭載し、南海トラフでの試験観測を開始する。

海底局設置案
海底局設置案
東北地方太平洋沖地震の地震時変位とすべり分布
東北地方太平洋沖地震の地震時変位とすべり分布
余効変動の観測結果
余効変動の観測結果
新規開発機器
新規開発機器
自航式ブイ導入後の観測形態
自航式ブイ導入後の観測形態
係留ブイ連続観測
係留ブイ連続観測
自動観測(将来計画)
自動観測(将来計画)