文部科学省委託事業

東海・東南海・南海地震の連動性評価研究

地震に強い社会をめざして。防災分野が連携して、東海・東南海・南海地震の連動発生を評価します。

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切迫度の高い震源域の先行調査観測

日向灘沖~東海沖のプレート観察と同時に、地震の切迫度の高い海域である、宮城県沖と根室沖でも海底地震計と海底水圧計を海底に設置し、先行調査・観測を行いデータを解析しました。その結果、2011年東北地方太平洋沖地震前後の地震活動として、地震発生時の活動域の移動や地震活動のプレート境界面への集中度が顕著に変化することや、内陸浅部の地震から得られた値と近い値を得ることができました。また、海底水圧観測データを解析については、地震とは関係ないデータやノイズの除去や提言手法を開発・提案し、東北地方太平洋沖地震とその最大前震に伴う地震の変動や余効変動を検出することができました。

1.海底地震観測・海底水圧観測

宮城沖

  • 海底地震観測
    H22年度設置の21点中14点で観測を継続
    西部の6点では休止←津波漂流物により海上作業が困難
  • 海底水圧観測
    観測点配置を変更
    継続7点、新設3点

根室半島沖

  • 海底地震観測
    10点での観測を継続
  • 海底水圧観測
    3点での観測を継続
宮城県沖での海底地震観測及び海底水圧観測
宮城県沖での海底地震観測及び海底水圧観測
根室沖での海底地震観測及び海底水圧観測
根室沖での海底地震観測及び海底水圧観測

2.海底地震観測データの解析

2011年東北地方太平洋沖地震の前後の地震活動

  • 本震前:海溝軸側プレート境界面に集中
  • 本震後:プレート境界+スラブ・上盤プレート・マントルウェッジ内前震活動
  • M5.5(2011年2月16日) の地震によって活発化
    ・地震発生域の上端近傍
    ・M5級の地震を含む群発型の地震活動
    ・海溝軸に平衡な方向南向きに1.8kmday程度で移動
  • 最大前震(2011年3月9日、M7.3、前震活動の20km程度陸側)以後
    ・最大前震とそれ以前の前震との間の領域での活動が活発化
    ・本震震央に向かう地震活動の移動:6.7km/day程度
  • 最大前震の余効すべりによる地震活動
    ・本震震央より陸側では不活発
     →余効すべりは本震震央よりも陸側には伝播せず
    ・最大前震以前の前震活動も非地震性すべりが関係?
     →プレート沈み込み方向への伝播は無し

地震波速度構造の比較

  • 大陸地殻の厚さ:約20km(本震の震源深さとほぼ一致)
  • 前震活動の違い:プレート境界より浅部の構造に起因
    ・本震震源よりも海溝軸側(前震活動が活発):スラブー近く接触域
    ・陸側(前震活動が低調):スラブーマントル接触域
  • 地震時すべりも海溝軸側で大、陸側で小
    ・スラブー地殻接触域はスラブーマントル接触域よりも地震時すべりを促進
  • スラブー地殻接触域
    ・プレート境界型地震が本震発生前まで活発(前震活動含む)
    ・本震後には不活発
  • スラブーマントル接触域
    ・本震後地震数が現象(プレート境界型地震は発生)

プレート境界形状にき委員する地震活動変化

  • 宮城県沖のプレート境界の折れ曲がり
    ・海溝軸側のクラスター状の前震活動の広がりを制限
     →形状由来の応力場による地震活動変化
東北地方太平洋沖地震の震源付近における震源分布。
東北地方太平洋沖地震の震源付近における震源分布。
本震発生より30日前から本震発生直前までの地震を、発生時刻に応じたカラースケールで示した。
(a)震央分布
(b)矩形領域内の地震深さ分布
東北地方太平洋沖地震の震源周辺の震央分布と震源分布
(a)東北地方太平洋沖地震の震源周辺の震央分布。
黒線および灰色線のコンターは東北地方太平洋沖地震と1978年宮城県沖地震の地震時すべり分布。実践は(b)で示す断面の位置。
(b)震源分布を2次元P波速度構造モデルの上に重ねて表示したもの。
本震前後の地震を、灰色と黒でわけて表示した。大きな地震の発震機構解(F-net)も示した。

3.海底水圧観測データの解析

全球海洋モデルにより予測される海底水圧変動

  • モデルの空間解像度に強い依存性
    ・モデル解像度高→計算される海底圧力の振幅は小
  • 実測された海底水圧データと比較
    ・空間解像度が1/12° のとき予測精度が最高
     ↑1層モデルにおけるエネルギー消散のパラメータ化の問題
  • 非潮汐成分をRMS振幅で全球平均で18%現象

海底ケーブル式観測システムで得られる海底水圧データ

  • 水温起源のノイズの影響が顕著
    ・数時間から数日の周期体にかけて大
    ←温度依存性の補償が不十分
    ・温度データとの相関成分を補正
    →パプアニューギニア地震(1998年、Mw7.0)に伴う津波データに適用

2011年東北地震太平洋沖地震

地震前後における海底上下地殻変動を検出

  • 地震発生時の非常に大きな変動
  • 最大前震に伴う変動
  • それぞれの余効変動
    ・本震後のゆっくりとした変動は大きく明瞭
    ・最大前震後の余効変動も観測点間での水圧差をとることで検出可
  • イベントごとに隆起・沈降のパターンが大きく異る
    ・すべりが空間的に異なる分布
     →それぞれでのプレート境界免状でのすべり分プを推定

前震地震時すべりとその余効すべりの分布

  • 陸上GPS観測で得られた前震とその余効変動による変位場を用いた逆解析
    ・前震の破壊域:破壊の開始点(震源)からみて北西方向に位置
     ≫破壊がdowndip方向に拡がった
    ・余効すべり:地震時すべりとはほぼ相補的な関係
     ≫前震の破壊域より南東側に拡大
     ≫最大前震の余震と考えられる活発な地震活動が見られた範囲と良い一致
      →余震活動は余効すべりの拡大によって引き起こされた
     ≫東北地方太平洋沖地震の震源:余効滑りの縁に位置
      →前震やその後の余効すべりの拡大は、本震の発生に至る一連の過程?

海陸地殻変動データから推定された地震時すべり分布

  • 宮城県沖に位置する主破壊域(すべり量20m超)
    ・極大すべり域(すべり量50m超)を含む
      ≫極大すべり域:最大すべり量85m
      ≫海溝軸に沿って約120km、幅40km程度
  • 福島県沖
    ・1983年の塩屋崎沖の地震の破壊域を一部包含
    ・浅部(15km以浅)・深部(40km以深)に地震時すべりなし
  • 宮城県沖地震の想定震源域(1978年宮城県沖地震の破壊域)
    ・本震はM7.5クラスの宮城県沖地震の震源域を同時に破壊

余効変動

  • 震源より海溝に近い側+海岸線付近の二か所に隆起ー沈降のパターン
  • 上下変動のプロファイルから余効すべりの二次元的な分布を推定
    ・本震地震時すべりの深部側限界より深い側
    ・海溝に近い側
    ・本震の破壊域には有意義な余効すべりなし
     ≫余効活動は活発なもののプレート境界型の地震は僅少
      ↑余効すべりがほとんど起こっていないことに起因?

余効変動と圧力センサーのドリフトの切り分け

  • 地震前のデータからドリフト成分を推定
  • 地震時変動によって印加絶対圧力がステップ的に変化
     ・ステップ的加圧変化によるドリフト・レートの変化・過渡的応答の有無が問題
      →室内実験を実施
    ・過渡的応答:時定数が十分に短い
      →余効変動と圧力センサーの水圧変動とは無関係な応答との区別は可能
1998年パプアニューギニア地震(M7.0)に伴う津波の、室戸沖システム(MPG1,MPG2)における観測データ
1998年パプアニューギニア地震(M7.0)に伴う津波の、室戸沖システム(MPG1,MPG2)における観測データ
海底水圧観測のデータから作成した海底レベルの時間変化
海底水圧観測のデータから作成した海底レベルの時間変化(2011年1月1日ー3月26日)
3月9日の最大前震の地震時すべりと余効すべりの分布
3月9日の最大前震の地震時すべりと余効すべりの分布
東北地方太平洋沖地震の地震時すべりの分布。
東北地方太平洋沖地震の地震時すべりの分布。
チェッカーボードレゾリューションテストの結果
チェッカーボードレゾリューションテストの結果
水圧計で使用しているのと動画他の水圧センサーに対して行った圧力加室内実験の結果。印加圧力(上)を変化させたときの、被検センターと基準センサーの指示圧力の差(下)
水圧計で使用しているのと動画他の水圧センサーに対して行った圧力加室内実験の結果。印加圧力(上)を変化させたときの、被検センターと基準センサーの指示圧力の差(下)
東北地方太平洋沖地震の余効変動による地殻上下変動と余効すべり量分布。
東北地方太平洋沖地震の余効変動による地殻上下変動と余効すべり量分布。

今後の課題

  • 東北地方太平洋沖地震本震発生前
    ・最大前震後の非地震すべりの詳細な検討
    ・このすべりイベントと本震の発生との関連について吟味
  • 余効すべりの時空間発展に関する総合的な解析
    ・平成24年度に回収予定の海底観測データ
    ・GPS / A観測
    ・陸上観測のデータ
    ・余震活動の時空間変化