明確な日周期をもつ東南アジアの大雨のメカニズムに迫る

北半球の冬のアジアモンスーンは、日本付近では北西風ですが、フィリピン海・南シナ海などでは北東風となり(図1)、北東に面した海岸のある各地域に降水をもたらします。
1月の平均の海上風

図1.(写真左) JRA-25再解析(気象庁と電力中央研究所による)のデータから作図した 1月の平均の海上風。1979-2004年の平均。

ベトナム中部をみると、この地域の大雨は10月から11月にかけて多く起こります。例えば、1999年11月2日から3日にかけて、古都フエで2日間の雨量が1800 mmを越える大雨が発生し洪水が起こりました。2日ほど前に黄海付近で寒気の吹き出しがあり、北東モンスーンが強まっていたからです。2006年12月から2007年2月にかけての北半球の冬には、北風が強まるごとに、ベトナム、マレー半島、ジャワ島で大雨が発生しました(図2)。
風の強さ

図2.ベトナム中部からジャカルタ周辺における2006年10月~2007年3月までの風の強さ(南北成分)

インドネシアのジャワ島のジャカルタ首都圏では、2007年1月末から2月初旬にかけて大雨が発生し洪水が起こりました。1週間ほどにわたって、北海岸のジャカルタでは夜に、内陸のボゴールでは夕方に大雨が繰り返されました(文献1)。これは次のように説明できます。
インドネシアのジャカルタで発生した大雨
1) 午後から夕方には、ジャワ島の南側にある山地で積雲対流が起きていました。




2) 夕方には、山地の積雲対流から地表付近に冷たい空気が流れ出し、夜にはそれが北側の平地でモンスーンの北風とぶつかって風の収束が起きました。


3) 夜に、海岸付近で積雲対流が発達して大雨を降らせました。


このように赤道を越えるモンスーンと局地的循環(山谷風)とが組み合わさって、明確な日周期をもつ大雨がもたらされました。

文献1.Peimin Wu, Masayuki Hara, Hironori Fudeyasu, Manabu D. Yamanaka, Jun Matsumoto, Fadli Syamsudin, Reni Sulistyowati and Yusuf D. Djajadihardja, 2007: The impact of trans-equatorial monsoon flow on the formation of repeated torrential rains over Java Island. SOLA, 3, 93 - 96. http://www.jstage.jst.go.jp/article/sola/3/0/3_93/_article