ユーラシア大陸の寒冷圏における温暖化を把握するために役立つデータ

ユーラシア大陸の寒冷圏は、ほかの地域に比べて年平均気温の上昇が著しく、地球温暖化の影響が現れやすい地域といわれている。この寒冷圏における温暖化の進行を把握するには、永久凍土や氷河の融解量に注目し分析することが重要な手段の一つである。そのため北極海に流れ込む北ユーラシアの大河川の一つ、レナ川(流域面積:2,500,000平方km[世界9位])に着目し、永久凍土や氷河の溶け水が流れ込む河川流量の長期変動を解明するための研究を行っている。その研究成果が「ユーラシアにおける水文プロセス(※)データ」である。

※水文プロセスとは、降水・蒸発散・流出といった水の川-海-大気の間の輸送のこと。

今後は対象範囲を広げ、北極海全体の水文プロセスの解明をめざす

レナ川流域の降水量と流出量をみると、過去60年間では、降水量は減少傾向、流出量は増加傾向という「負の相関」を示したが、近年20年に限ると共に増加傾向にある。その傾向を詳しく分析するために、レナ流域における積雪水量、土壌水分量、融解深・氷量、蒸発散量、河川流量を統合的に解析した。その結果、この地域の降水量の増加と活動層(※)が深くなることによる土壌水分の増大が河川流量の増加に関係していることが分かった。
北極海へ注ぐ大河川はオビ川、エニセイ川などほかにもあるため、今後は解析対象範囲を広げて北極域全体の水文プロセスを解明するために研究を行う。

※活動層とは、夏季に溶ける永久凍土の上層の深さ。その地表面は草原やタイガになる。