従来の台風のデータにはない、1945年以前の台風経路や発生数の確認が可能

フィリピン気象月報の台風経路データ

フィリピン気象月報の台風経路データ

近年、地球温暖化などの気候変動により、台風の経路・発生数・強さがどのように変化していくかに注目が集まっている。これらの過去の変化をきめ細かく把握するために必要となるのが、100年以上に渡る長期的な台風の観測データ。しかし、現在広く普及しているデータは1945年以降の観測値をもとに作成されているため、実態把握の精度を高めるのが難しい。この状況を改善できるのが、1945年以前のフィリピン気象月報の情報を活用した「20世紀前半の台風経路データセット」である。このデータセットの完成により、1902年7月6日から1940年9月4日までの西部北太平洋域における1日ごとの台風経路や発生数を把握できるようになった。当時と現在では台風の定義が異なるため、データ作成時は十分な検証作業を行っている。また、今後は日本、台湾、香港、上海のデータと比較しながら精度をさらに向上させていく。

過去の台風の把握から異常気象の予測、防災対策に社会学・民俗学的な台風研究まで

1945年以前の台風の経路や発生数を明らかにするだけでなく、さまざまなシーンに貢献できるのもこのデータセットの魅力。例えば、異常気象の予測や気候シミュレーションの作成に取り組む場合は、1945年以前の台風情報を長期的な観測データの一つとして利用すれば、より精度が高まる。また、日本やフィリピンなど台風による災害に悩まされてきた地域では、過去の台風の経路や発生数が防災対策に活かせる。さらに、台風の歴史や暮らしとの関わりなど、社会学・民俗学的な視点から台風を研究する際にも活用できるだろう。