情報提供:松本 淳

地域の人々の暮らしに大きな影響を与えるモンスーン

日本を含む広大な東アジア・東南アジア・南アジアには、アジアモンスーンと呼ばれる特徴的な気候がみられる。日本では梅雨と冬のモンスーン(季節風)に代表されるように、風向きは夏と冬で大きく変化し、降水は冬の日本海側などの例外を除くと一般に夏に集中する。アジアモンスーン地域には台風もしばしば来襲し、洪水や暴風などによって大きな被害を受けてきた。一方でモンスーンや台風によってもたらされる降雨は、この地域での稲作などの多様な農業活動や世界の6割以上が居住する膨大な人口を支える水資源としても大きな役割を果たしている。

アジアモンスーン地域の水循環を分析し暮らしに役立てる

アジアモンスーンの影響をうける地域に暮らす人々にとって、今後予測される洪水・渇水などの水災害への対処方法や水資源を計画的に使う能力の向上は大きな課題である。そのためには、広大なアジアモンスーンに伴う水循環の変化や現在の状態を正確に把握する必要がある。
そこで本研究課題では、アジアモンスーン域における気象水文観測データ(たとえば、降水量、気温、風向・風速、気圧、日照時間、河川流量など)を整備し、幅広い研究開発を行っている。具体的には、(1)東南アジア諸地域に大雨をもたらす気象場および降雨分布の解明。これにより、大雨の影響範囲と大雨をもたらす気象場のメカニズムを明らかにし、防災や減災に役立てることができる。(2)北西太平洋の台風分布などの気候の長期経年変化の実態とその変化要因を解明するこれにより、気候の数十年規模変動と温暖化傾向を分けて認識する。これは今後の気候変動適応において重要な情報である。(3)東・東南アジアにおける地表面熱収支の経年変化の実態解明と日射量の衛星プロダクトなどの評価。これは農作物収量評価などに活かすことができる。