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シームレス環境予測研究分野

トピックス

国際観測プロジェクトCINDY2011期間中に発生した「マッデン・ジュリアン振動」現象に先行する大気の湿潤化過程についての研究成果がMonthly Weather Reviewに掲載されました

マッデン・ジュリアン振動(MJO)は1-2か月の周期で発生する熱帯の代表的な変動現象です。インド洋上で発生し、ゆっくりと赤道上を東に進む巨大な(数千km)雲域によって特徴づけられ、アジア域の天候に大きな影響を及ぼします。その発生のメカニズムを明らかにするため、2011年の秋から冬にかけて国際集中観測CINDY2011が実施されました。

那須野 智江 主任研究員らは、集中観測期間中(2011年10-11月)に発生した2回の現象を対象とし、客観解析データ・衛星データ・ラジオゾンデ観測データを用いた解析を行いました。その結果、2つの事例に共通してMJOに伴う大規模な対流の活発化の8-10日前からMJO程度の周期(20-80日)の東風偏差が強化され、インド洋上で(図、囲み域)より湿潤な東側(海洋大陸付近)からの水蒸気輸送が増加することで対流圏中層の湿潤化が促進されたことが分かりました。

MJOの発生において、対流活動の燃料となる水蒸気の蓄積やその下層からの持ち上げは重要なプロセスです。この研究ではそれに加えて、対流圏の中層を中心に、ゆっくりした風速の変化が水蒸気の分布を変えることによりMJOの発生に好都合な条件を作り出していたことが示されました。更に、この東風偏差は、ロスビー波活動(中緯度の高低気圧の変動)により強化された可能性が示唆されました。

次の展開として、当分野で開発しているシームレスな数値モデル(世界各地の日々の天候から全地球規模の気候変動までを同一の枠組みでシミュレートできるモデル)を用いた研究により、MJOのような熱帯の擾乱と日本を含む中緯度域の変動との関係の究明に取り組みます。

論文情報: Monthly Weather Review
http://journals.ametsoc.org/loi/mwre
Early online release
http://journals.ametsoc.org/doi/pdf/10.1175/MWR-D-14-00132.1
参考:
地球環境シリーズ講演会「熱帯気象理解の鍵 マッデン・ジュリアン振動」(12月3日 ヤクルトホール)
http://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20141030/


図:2011年10月後半のMJO現象の発生前(10月9-18日平均)の対流圏中層(600 hPa)水蒸気量(色)と水平風偏差(20-80日周期、矢印)。☆はゾンデ集中観測点。