1章:Fortran90プログラミング概要

1.1 Fortran90とは


現代、コンピュータは様々な領域で必要不可欠なものとなっている。初期のコンピュータは機械語でプログラムが書かれていたため、非常に手間がかかりエラーが起こりやすいものだった。

そこで開発されたのが、高水準プログラミング言語の Fortranである。「Fortran」とは、

FORmula」 + 「TRANslating」

を組み合わせた名前で、「数式を変換する」という意味を持つ。

Fortranの歴史

Fortran は1954年に IBM のジョン・バッカスによって考案され、以下のように変化した。

  • FORTRAN I:
    基本

  •   ↓
  • FORTRAN II:
    FORTRAN I に副プログラム呼び出し機能が追加されたもの

  •   ↓
  • FORTRAN III:
    FORTRAN II に改良を加えたもの

  •   ↓
  • FORTRAN IV:
    データ型宣言、条件文の追加、入出力命令の強化などが追加・変更されたもの

  •   ↓
  • FORTRAN 66:
    1967年に JIS として規格統一されたもの。現在の Fortran に近い形になる

  •   ↓
  • FORTRAN 77:
    FORTRAN 66以前の欠点を大幅に改良したもの

  •   ↓
  • Fortran 90:
    他の言語の特徴を組み込み、自由形式が導入されたもの

FORTRAN 77が制定された時代には、C 言語や Pascal、Java などの言語が開発され、「Fortran は旧式で不便な言語」という考え方が広まった。特に C 言語は UNIX の普及により、プログラミング言語の主流となった。

このような流れから、Fortran をより使い易い言語にするため、他の言語にあるような構造化記述を行うための文法などが取り入れられ、Fortran90が制定された。

BasicやC/C++、Pascal、Visual Basic などの言語がソフトウェア開発を行うのに適した言語であるのに対し、Fortran は数値計算に適した言語として位置づけられ、工学や科学の分野で広く使われている。



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