平成15年度地球シミュレータ共同プロジェクト利用報告会
利用責任者名 : 丸山 康樹 (財団法人 電力中央研究所)
共同プロジェクトテーマ : 「大気海洋結合モデルの高解像度化」
発表要旨
1.プロジェクトの目的
大気海洋結合モデルの各要素モデルの高解像度化を図る。第一段階として、これら要素モデルを結合して中解像度の大気海洋結合モデルを開発し、 IPCC SRES シナリオなどに基づいたアンサンブル温暖化予測を行う。第二段階として、超高解像度の結合モデルを開発し、温暖化予測を行う。これらにより、 IPCC に科学的に貢献する。
2.今年度当初の計画
(1) 全球海洋モデル: 1/10 度(約 10km )モデルの改良(チューニング)、海氷モデル結合検討。領域海洋モデル(九大): 1/12 度の太平洋モデル、 1/36 度の日本海モデルの開発。
(2) 全球大気モデル:解像度を変化( 300 ~ 40km )させ、パラメータ調整。また、空間解像約 300km 、 80km 程度モデルのアンサンブル実験を行い、熱帯低気圧の年々変動の検討。さらに、新大気モデル CAM 3の検討
(3) 結合モデル:大気 100km 程度、海洋 100km 程度の中解像度モデルの開発。パラメータ調整のための試験ラン、長期間のコントロールラン、 20 世紀の気候再現計算等を行い、結合モデルの性能を評価する。
3.今年度得られた成果、および達成度
<成果>
(1) 全球海洋モデル: 1/10 度モデルの鉛直解像度の増加、海底地形の変更、非等方性の粘性係数や GM スキームの導入による水平混合スキームの検討を実施。黒潮や日本海の流動パターンが改善された。領域海洋モデル(九大): 黒潮海流系 Missing transportの現象解明。太平洋中層水について、中規模渦が熱や水塊の輸送に与える影響について検討。
(2) 全球大気モデル:旧モデル( CCM3 )の解像度 300 ~ 40km による再現計算を実施。 40km モデルでは冬季の日本海側の降水 ( 降雪 ) 域が改善、しかし気候値全体の再現性向上は困難。エルニーニョと熱帯低気圧活動の年々変動に関するアンサンブル予測の有効性を確認。
(3) 結合モデル CCSM :大気 CAM 、陸面 CLM 、海氷 CSIM 、海洋 POP 、フラックスカプラ CPL の地球シミュレータへの移植とベクトル並列最適化がほぼ完了。現在、各要素モデルを結合した結合計算の試験と計算結果の検証および結合時の性能調整を実施中。
<達成度>
(1) 現状海洋の再現性向上のチューニング計画分がほぼ終了。海氷モデルの開発が遅れたため、若干計画より若干遅れ気味(達成度: 70 %程度)。領域海洋モデル(九大)はほぼ予定どおり進捗し、日本海モデルの開発・検討を加速中(達成度 80 %)。
(2) 旧大気モデル( CCM3 )を用いた検討はほぼ計画どおり終了。アンサンブル予測による熱帯低気圧の年々変動に関する知見は、 IPCC 温暖化予測の結果分析に適用予定。 NCAR における新大気モデル( CAM 3)の開発の遅れにより、若干遅れ気味(達成度: 60 %程度)。
(3) 主として NCAR が実施してきた結合モデルモデルの物理過程の改良・調整が 12 月 3 日に終了。 ES への移植・最適化は、当初計画より若干の遅れがあるものの、ほぼ計画通り進展(達成度: 80 %~ 90 %程度)。 IPCC の要請により、来年 1 月から、計画を前倒しして、 IPCC 第 4 次評価書( AR4 )用の温暖化予測を開始予定。