平成15年度地球シミュレータ共同プロジェクト利用報告会

利用責任者名 : 大淵 済 (海洋科学技術センター 地球シミュレータセンター)

共同プロジェクトテーマ : 大規模場と中規模現象の相互作用による大気・海洋変動の機構と予測可能性

PDF 発表資料 (1.84MB)

発表要旨

1.プロジェクトの目的

大気・海洋の超高解像度モデルを用い,比較的長い時間スケールを持ち,空間的にも地球規模の大きな現象(大規模場)から,短い時間スケール,小さな空間スケールを持つ現象(中規模現象)までを同時にシミュレートする.そして,異なった時空間スケールの現象間の相互作用によって引き起こされる変動の機構を解明し,その予測可能性を研究することが本プロジェクトの目的である.それにより,将来的には,天気予報,季節予報,気候変動予測の精度向上に貢献する.

2.今年度当初の計画

主にケーススタディーを通じて,異なった時空間スケールを持つ現象間の相互作用の研究を行う.全球大気大循環モデル AFES では, 2002 年 8 月の欧州に大洪水をもたらした低気圧など,準全球海洋大循環モデル OFES では,過去 50 年間のハインドキャストなどである.また,全球大気・海洋結合モデル CFES では,長期の積分により,モデルの特性を確認し,さらに,領域海洋大循環モデル PFES では,北太平洋に特化した超高解像度数値実験の準備をする.

3.今年度得られた成果、および達成度

<成果>

AFES: 2002 年 8 月の欧州における大洪水をもたらした切離低気圧が,中規模擾乱と大規模場の相互作用であることを示唆したことなど.

OFES: 中規模渦の活動度や,エル・ニーニョに伴う海面水温変動など現実的に再現したこと.また,気候変動と関係が深い北大西洋深層水の循環を再現したことなど.

CFES: これまでのモデル研究と比較して,特に,エル・ニーニョなどの現実的な再現にとって基礎となる,熱帯域の季節変動の再現性が十分に高いことを確認したことなど.

PFES: まだスピンアップの途中であるが,黒潮と日本沿岸域の循環との関係が見え始めていることなど.

<達成度>

AFES: 予想以上にテスト実験が必要であったが,ほぼ計画通りに研究は達成しつつある.

OFES: 数値実験および結果の解析が計画通りに進んでいる.

CFES: 開発・改良に時間がかかったが,高解像度結合実験に向けて順調に進んでいる.

PFES: ほぼ計画通りで,順調にスピンアップが進められている.