平成15年度地球シミュレータ共同プロジェクト利用報告会
利用責任者名 : 大西 楢平 (CAMP (Collaborative Activities for Materials Science Programs) グループ)
共同プロジェクトテーマ : 計算材料科学のための物質情報構築法の開発
発表要旨
1.プロジェクトの目的
(1) 計算材料科学の知見情報として利用可能な形での蓄積
(2) 知見情報として利用可能な情報のためのシステム開発
(3) 材料計算に関する知識ベースによる計算情報の公開
2.今年度当初の計画
周期系プログラム CAMP-ATAMI と非周期系プログラム LCAO-PS の地球シミュレータへの移行および代表的材料における動作のチェック
(1) ベクトル化の再チューニングと MPI および HPF を用いた並列化チューニング
(2) 必要に応じたシステムに合わせたコードの書き換えおよび新規開発の実施
(3) Pt 、 Au 、酸化物などの代表的材料におけるパフォーマンスチェック
3.今年度得られた成果、および達成度
【成果】
物質系では効率的な並列処理が困難であった密度汎関数法による第一原理計算の非周期系プログラム LCAO-PS の並列化に成功。材料開発のための知識ベース構築へ向けた基盤ソフトの動作確認を行い、高機能触媒設計などへの実用化の展望がひらけた。
(1) MPI を用いて個々の原子を単位とした効率的な(並列化率 99.95% )並列化に成功。
(2) メモリ節減のために、大容量一時ファイルを用いていた部分をオンメモリ化することで高速化。しかし、ノード内16GBの制限により、計算可能な原子数と計算精度に限界が発生した。そこで、 Microtask を併用したハイブリッド並列を適用することでこの問題を解決した。
(3) ナノサイズの金属クラスター等における動作確認
燃料電池等に唯一必須の触媒機能をもつプラチナ (Pt) ・クラスターの解析。これまでは不可能であった計算が実用的な時間内で可能になった。
【達成度】
(1) 材料解析および設計などへの実用化
ナノサイズに達する Pt135 個のクラスターの電子状態計算を、数 10 分で完了。同時に地球シミュレータの 135 ノードを用いて 1.2TFLOPS の計算性能も達成。(最も標準的な分子軌道法ソフト Gaussian プログラムでは、 Pt55 個のクラスターでさえ、1週間以上計算しても結果を得ることができない。)
(2) システムに合わせたコードの書き換え
2つあるプログラムのうち、1つの並列化チューニングが完了。もう1つの周期系プログラム CAMP-ATAMI については次年度に行う予定。
(3) 複雑なスピン分極などパラメータ調整が必要となる数種類の化合物系(酸化物、水素 - 金属系、および合金)クラスターに対する LCAO-PS プログラムの動作確認を行った。