平成15年度地球シミュレータ共同プロジェクト利用報告会
利用責任者名 : 岸本泰明 (日本原子力研究所 那珂研究所)
共同プロジェクトテーマ : 多階層ダイナミックスが支配するプラズマの構造形成に関する研究
発表要旨
1.プロジェクトの目的
磁場核融合プラズマやレーザー核融合プラズマ、さらに天体プラズマにおいて、時間・空間スケールの異なった多階層間の相互作用によって現出する様々の構造形成にかかわるダイナミックスの素過程の解明を行う。これにより、顕著な分布形成現象を伴う高性能核融合プラズマの実現や、高密度レーザー核融合プラズマ、天体プラズマの構造形成現象に対して、多階層的相互作用に基づく新たな理論の構築を行うとともに、これらを実現するために不可欠な数値実験を実施する。
2.今年度当初の計画
磁場プラズマ及びレーザープラズマ研究において核となる下記の中核コード
磁場プラズマ : トロイダル配位における乱流輸送コード
レーザープラズマ : 原子・緩和過程を取り入れた相対論的粒子コード
の地球シミュレータ上での全ノードを使用した高効率のベクトル並列化を実現するとともに、それに基づいたシミュレーションを実施、これまでの計算機では再現できない新たな物理課程の発見を目指す。
3.今年度得られた成果、および達成度
<成果>
トロイダル乱流輸送コード( GT3D )に関して、 512PE ( 4096GFLOPS )を使用したシミュレーションにおいて、ほぼ線形にスケールされる依存性で実行性能25%を実現し、核融合乱流輸送計算のES上での実現の目処を立てた。
レーザープラズマに関しては、様々な原子・分子過程や荷電粒子間の衝突緩和過程を取り入れた相対論的3次元電磁粒子コードに関して、ES上でのベクトル並列化を行い、 120 ノード( 960PE )を使用した計算を可能にした。また、 ES の全ノードを使用した計算実現の目処を立てた。本コードによる放電・雷過程のシミュレーションを行い、広範囲の空間で、“ sprite ”と呼ばれる、速い時間スケールの爆発的な放電現象を発見し、その背後にある物理過程を明らかにした。これらは、最近の観測結果(例えば、 V.P. Pasko et al., Nature ( London ) 416 , 152 (2002) )を説明する可能性がある。
<達成度>
トロイダル乱流輸送コードに関しては、コードのチューニングは進展したものの、ESを使用した具体的シミュレーションの実現と物理過程の探求は今後の課題である。また、レーザーをはじめとした基礎プラズマ研究は予想を上回る進展と評価される。