平成15年度地球シミュレータ共同プロジェクト利用報告会
利用責任者名 : 浜野 洋三 (海洋科学技術センター 固体地球統合フロンティア研究システム)
共同プロジェクトテーマ : 実地球環境での地球磁場・変動シミュレーション
発表要旨
1.プロジェクトの目的
マントルとコアからなる地球システム全体の活動の実態解明を目的として、磁場とその変動に関わるシミュレーション研究を行う。以下の 2 課題から構成される。(1)コアでの磁場生成に寄与するダイナモ過程の高精度シミュレーションにより、地球磁場の起源を解明し、磁場変動の原因を明らかにすることにより、現在のコアの動的状態を把握し、将来的な磁場変動の予測につなげる。(2) 3 次元的な電気伝導度の不均質を持つ地球の電磁誘導過程のシミュレーション研究により、マントル深部の電気伝導度の不均質性を明らかにし、マントル対流のシミュレーション研究の結果等と総合することにより、地球のマントルが地球進化過程において現在どのような段階にあり、将来どのように発展していくかを明らかにする。
2.今年度当初の計画
ダイナモシミュレーションでは、現在球面調和関数スペクトル変換法に基づく計算コードが 2種類、有限要素法による計算コードが1種類開発されている。これらの計算コードを用いて、低エクマン数(E<10-6)、高レーリー数(R<108)領域でのシミュレーション計算を行い、パラメータスタディーを実施する。またフーリエ変換法に基づく新しいシミュレーション手法を開発する。電磁誘導シミュレーションでは、周波数領域及び時間領域での3次元不均質場の電磁誘導シミュレーションコードの地球シミュレータへの移植とチューニング、ソース場の特定、3次元インバージョン手法の開発、により地球内部の不均質構造を求めることをめざす。
3.今年度得られた成果、および達成度
<成果>
ダイナモシミュレーションでは球関数スペクトル変換法により球関数展開次数 256 次、動径方向 256 格子点相当の解像度で 64 ノード (2.0Tflops,48%PP) 及び 128 ノード (3.3Tflops, 41%pp) でのダイナモ計算を実施し、 E=10-6, Ra=108, Pm=0.1 でダイナモ作用を確認。 E=10-5でパラメタースタディーを行い、レーリー数の増加と共に非ダイナモ、安定ダイナモ、不安定ダイナモ(逆転頻度はレーリー数の増大と共に増加)の移り変わりを調べた。有限要素法では E=5x10-5,Ra=1.6x107(72-node) でダイナモ計算。フーリエスペクトル法については、コード開発を行い、無磁場ベンチマークモデルの計算を実施。電磁誘導シミュレーションでは、時間領域及び周波数領域での Forward 計算コードをチューニング(時間領域:球関数展開次数 128 次、動径方向 100 格子点、 160 ノード使用、性能 6.1TFlops(60%PP), 周波数領域: 10 ノード , 40CPU ) . また、 3 次元構造探査のために、新しいインバージョン手法の開発、ソース場特定手法の開発、球対称標準マントルモデルの推定等を実施した。
<達成度>
ダイナモシミュレーションでは球関数スペクトル変換法で、当初予定の E=10-6でのダイナモ計算、 E=10-5では Ra - Pm 空間でのパラメータスタディーが実施できた。しかし、 E=10-6では、展開次数 256 は高レーリー数の計算には解像度が不足している。今後は、 ES への最適化を行うことにより、さらに高解像度の計算により E=10-6でのパラメータスタディーの実施必要。フーリエスペクトル変換法については展開次数 512 以上で効率的との予測が得られたので、今後 ES に移植して計算が必要。電磁誘導シミュレーションでは、今年度は 3 次元電磁気構造探査のために必要な道具 (Forward modeling, Inversion technique, 1-D standard model, Response function estimate) の整備が進んだ。来年度はこれらの道具を使って、構造探査を実施することが目標。