平成15年度地球シミュレータ共同プロジェクト利用報告会
利用責任者名: 陰山 聡 (海洋科学技術センター 地球シミュレータセンター)
共同プロジェクトテーマ: コア・マントル結合系のダイナミクス
発表要旨
1.プロジェクトの目的
地球はその内部に大量の熱を蓄えており、その熱を宇宙空間に放出する過程で2種類の大規模な対流運動を駆動している。一つはコア(外核)の対流運動であり、もう一つはマントルの対流である。コア中の液体鉄が対流運動をしている結果、磁気流体ダイナモ作用を通じて地球の磁場が作られている。一方、マントル対流は地球表面にプレートを形成し、大陸移動や造山活動、地殻変動などを引き起こしている。コア対流とマントル対流という2種類の対流系は、コア・マントル境界面において接触し、互いに影響を及ぼし合っていると考えられる。本プロジェクトの目的は、地球内部全体を、コア対流とマントル対流という二つの対流系が結合した、一種の2重対流系として見る視点に立ち、多様でダイナミックな固体地球現象を全体的に理解する新しい理論的枠組みを構築することである。
2.今年度当初の計画
本プロジェクトの目標達成のためには、コアとマントルの二つの対流系を同時に解く、一種の統合コードを開発する必要がある。しかしながら、マントル対流の時間スケールとコア対流の時間スケールの比は10の5乗にも達する。時間スケールの全く異なる二種類の対流コードを接続することは容易ではない。従って、平成15年度は、結合コードの構築を目指した基礎研究に集中することにしていた。研究計画書で挙げていた本年度の具体的な年次計画の項目は以下の通りである。
3.今年度得られた成果、および達成度
<成果>
<達成度>
本プロジェクトでは最終的に、時間スケールの異なる現象を同時に解く結合コードを、十分高速に実行させる必要がある。本年度はその準備段階として、新しい格子系と計算手法を考案することにより、結合させる前のコアとマントル双方の対流シミュレーションを、どちらも格段に高速化させることに成功した。しかも、今年度新たに開発したコア及びマントル対流のシミュレーションコードは、どちらも同じ格子系に基づいているので、その結合は当初の予想よりもはるかに容易になった。これは研究計画時には想定していなかった成果である。従って今年度の目標はほぼ100%達成できたと考える。