■発表要旨
1.プロジェクトの目的
- 「統合モデル」:地球温暖化とそれに伴う気候の変化、水循環の変化、陸域生態系(植生)の変化など地球環境全体の変化を相互のフィードバックを取り入れて予測するため、統合モデルを開発する。
- 「次世代大気大循環モデル」:気候計算に適した水平分解能数kmで全球の雲運動を解像する全球雲解像大気大循環モデルを開発する。
- 「次世代海洋大循環モデル」:高解像度で全球を覆い中規模渦を解像する海洋モデルを開発する。
2.今年度当初の計画
- 「統合モデル」については、現在地球フロンティアの各研究プログラムで行われている個別モデル(大気組成、陸域生態系炭素循環など)の開発をひき続き進めながらそれらひとつひとつを物理気候モデルと結びつけ、「部分統合モデル」を作る作業を継続する。また植生モデルと海洋生物地球化学モデルを結合し海・陸にわたる炭素循環モデルを作る。
- 「次世代大気大循環モデル」については、諸物理過程を導入し全球雲解像実験の長時間積分を行う。特に全球が海面で覆われた水惑星実験などの実験を行い、気候状態を解析する。
- 「次世代海洋大循環モデル」については、立方体格子海洋モデルの開発を継続しベクトル化、並列化をおこなう。また領域モデルにより中規模渦解析のための物理スキームの検討をおこなう。
3.今年度得られた成果、および達成度
<成果>
- 「統合モデル」については
・C4MIPプロトコルに沿った陸域炭素循環モデルの改良・チューニング完了。
・大気海洋結合炭素循環モデルによる温暖化予備実験完了。
・個体ベースの全球植生動態モデルの原型コード完成。現在パラメータの調整中。
・PCC SRES 各シナリオに従って対流圏オゾン・メタン・エアロゾルの将来予測実験完了。
・詳細雲物理モデルにより得られた関係式によるAGCMパラメタリゼーション改善。
・高解像度大気モデルにより得られた結果による成層圏重力波パラメタリゼーション改善。 - 「次世代大気大循環モデル」については
・全球雲解像モデルに必要な諸物理過程の導入を行い、全球雲解像実験が可能なモデルを開発した。
・雲解像モデルによる長期積分を行い、雲物理の特性、積雲の組織化について調べた。
・水平7km格子の全球雲解像水惑星実験を30日積分し、気候値を得た。今後全球3.5km格子実験を行う。 - 「次世代海洋大循環モデル」については
・3次元力学コアの開発を完了した。
・粗解像度での長時間積分(1000年計算)を実行し、計算結果の解析を終了した。
・ベクトル化、並列化を完了し、高ベクトル化、高並列化を達成した。
・南大洋での層厚拡散係数を領域渦解像モデルから算出した。
<達成度>
- 「統合モデル」については、上記成果の他に、統合モデルへの大気化学モデル組み込みも完了間近であり、年度当初に立てた計画を充分達成可能なペースといえる。
- 「次世代大気大循環モデル」については、IPCC枠のなくなった9月以降に計算を開始し、3ヶ月で順調に計算を遂行している。全球3.5km格子実験もすぐに実施可能であり、エアロゾルモデルの組み込みを含めモデルの第一バージョンの開発が完了間近である。
- 「次世代海洋大循環モデル」については、予定通り順調に進んでおり、年度当初に立てた計画を充分達成可能である。