平成16年度地球シミュレータ研究プロジェクト利用報告会

利用責任者名 : 秋元 肇 (海洋研究開発機構 地球環境フロンティア研究センター)

プロジェクトテーマ : 全球・地域スケール化学輸送モデルによる大気組成変動とその気候影響の研究

PDF 発表資料 ( 690KB)

発表要旨

1.プロジェクトの目的

  本研究では、温室効果ガスに対する全球大気輸送モデル、反応性大気微量成分に対する全球化学輸送モデルを用いて、温室効果ガスのソース・シンク、大気組成変動の解析を行う。特に二酸化炭素(CO2)については2008年からの京都議定書第一約束期間を控えて、高精度かつ高分解能で炭素循環解析を行うことは、その地域規模でのソース・シンクを定量化する上で重要度は極めて高い。本プロジェクトでは解析の精度を評価するために単独の輸送モデルではなく、複数の輸送モデルを利用する。

2.今年度当初の計画

  1. CO2については、TransCom等で採用されているトップダウンアプローチを採用し、大気中の観測データを用いて全球大気輸送モデルに基づく前進モデリングと逆モデリング手法を適用し、CO2の地域的ソース・シンクの解析を進める。特に、解析の精度を評価するために気象庁の研究者をプロジェクトに加え、NIES/FRCGCモデルに加えてJMA_CDTMモデルとの比較を行えるように準備する。
  2. 反応性大気微量成分については、これまでT63の空間分解能で利用してきた全球化学輸送モデルについてT106の高分解バージョンの開発を進める。

3.今年度得られた成果、および達成度

<成果>

  1. 二酸化炭素の前進及び逆モデリング
    1. NIES/FRCGCモデルを基に水平解像度0.25゜での高分解能全球大気輸送モデルが開発され、MPIコミュニケーションを適用した温室効果ガスの輸送解析が行なわれた。
    2. 陸域生態系モデルをオフラインで組み込んだ1゜×1゜分解能の大気輸送モデルを用いてCO2に対し1960-2000年の長期積分がなされた。モデルパラメータを調整することにより、観測されたCO2の経年プロフィールと良い一致を得ることが出来た。
    3. 発生源の時間的変動パターンを取り込むことにより、逆モデリングによるCO2の地域的なソース・シンクの精度が向上した。
    4. 気象庁グループでは気象庁二酸化炭素輸送モデル(JMA_CDTM)を地球シミュレータに移植し高解像度化(2.5°→1°)を行った。ベクトル化チューニングを行った結果、ベクトル化率が99.2%に達した。また、現在MPIのチューニングを行っている。
  2. 化学輸送モデリング
    1. FRCGC/UCI全球化学輸送モデルについてT63からT106へのアップグレードが完了し、ECMWF気象データと結合させ、地球シミュレーター上への移植が完了した。

<達成度>

ほぼ研究計画通り進行しており、今年度計画の約80%が達成された。