平成16年度地球シミュレータ研究プロジェクト利用報告会

利用責任者名 : 浜野 洋三 (海洋研究開発機構 地球内部変動研究センター)

プロジェクトテーマ : 実地球環境での地球磁場・変動シミュレーション

PDF 発表資料 ( 1.8MB)

発表要旨

1.プロジェクトの目的

  地球磁場変動のメカニズムを総合的に理解するために, コアの対流とダイナモ作用, およびマントルの電磁誘導の現実的なモデルを構築し, 直接数値計算をおこなう。

2.今年度当初の計画

  球殻MHDダイナモおよびマグネトコンベクションの数値シミュレーションをおこない, 発生する磁場や流れ場の様子や, エクマン数 (E) とレイリー数 (Ra) に対する系のパラメータ依存性について調査する。とくに低エクマン数, 高レイリー数領域でのダイナモの数値解を系統的に調べる。そのための計算コードのさらなる最適化もおこなう。

3.今年度得られた成果、および達成度

<成果>

  MHDダイナモのレイリー数依存性を調査した結果, 高レイリー数領域において, 数値解の性質が変わる新しい分岐を発見した。この分岐点後に得られた高レイリー数側のダイナモの数値解は, 地球のコア内で期待される流れの速度や磁場強度の値を矛盾なく再現し, また磁場の双極子成分の逆転も再現されることがわかった。E=1.0e-6の低エクマン数領域においても自励ダイナモの数値解が得られ, 双極子磁場が維持されることがわかった。また低エクマン数領域でのマグネトコンベクションの数値計算の結果, 渦にとりこまれた磁力線と東西流との相互作用によって, きわめて狭いシート状の領域にジョット様の流れが発生することがわかった。これは地球磁場の変動のしくみを考えるための基礎として重要な発見である。

<達成度>

  大規模数値計算を系統的におこなった結果, MHDダイナモのレイリー数依存性に関しては広い範囲のパラメータをカバーすることができ, かなり高い達成度が得られた。ここで得られたダイナモの性質が, 真に地球のコアに適用可能な一般的なものであるかどうかについて明らかにするためには, さらにエクマン数に下げたシミュレーションをおこなう必要がある。本年度の研究では, E=1.0e-6のダイナモおよびマグネトコンベクションの計算を数例おこなったが, このパラメータ領域での3次元直接数値計算は前例のないものであり, 本研究の達成度はじゅうぶん高いといえる。