■発表要旨
1.プロジェクトの目的
マントル対流は様々な地学現象の原動力であり、地球の長期的な変動を理解するためには、マントルの進化やダイナミクスを知る必要がある。本研究では、マントル対流の大規模シミュレーションコードを開発し、これを用いて、マントル内部に存在する相境界や粘性率の強い温度圧力依存性、および複雑なレオロジーを持つプレート運動等がマントル対流に与える影響を調べ、各々の物理モデルを構築することを目的とする。
2.今年度当初の計画
フォワードモデリング的研究として、
- 高レイリー数三次元球殻熱対流計算によるマントル対流の物理的基礎研究、
- 660km相境界が存在する時の三次元球殻マントル対流の系統的シミュレーションによるマントル内部構造の研究、
- 大規模粘性変化を持つ三次元対流数値計算によるマントル対流の基礎的性質の研究、
- 大陸プレートとマントル対流の相互作用によるプレート境界の自律的形成とマントル対流のダイナミクス・進化過程の研究、
- マグマの発生・固相-液相-気相三相系のダイナミクスの研究、以上を進める。バックワードモデリング的研究では、境界での運動を与えて内部の流れ場を解くプログラムのES向け最適化、ベンチマーク、および性能評価
を目指す。
3.今年度得られた成果、および達成度
<成果>
フォワードモデリング的研究において、
- 上記1)ではマントル内部の解像度を15kmまで上げ、レイリー数10の8乗という三次元球殻熱対流計算では世界最高レベルを達することが出来た。
- また上記2)では、ほぼ系統的なシミュレーションの実行を終え、660km相境界の存在によるマントル内部構造の変化を明らかにした。
- 上記3)では粘性コントラストが4桁にもおよぶ温度依存粘性を持つ三次元球殻熱対流計算に相転移を取り込む事が可能となった。
- 4)においては、リソフフェアのレオロジーを組み込んだ二次元モデルによりプレートの沈み込みを再現することが可能となった為、本モデルの三次元への拡張を開始した。
- 5)においては、初めて高精度の三次元非定常噴煙モデルを構築し、よく使われているジェットの現象論的一次元モデルを強く支持する結果を得る事が出来た。
<達成度>
フォワードモデリング的研究においては各々以下のような達成度であった。
- 80%
- 100%
- 60%
- 60%
- 75%
バックワードモデリング的研究は目立った進捗が得られなかった為、今後はフォワードモデリング的研究の4)で開発中のプログラムを用いて進めることとした。