平成16年度地球シミュレータ研究プロジェクト利用報告会

利用責任者名 : 鳥海 光弘 (東京大学 大学院新領域創成科学研究科)

プロジェクトテーマ : 計算地球物質科学による地球内部物質の物性評価計算

PDF 発表資料 ( 358KB)

発表要旨

1.プロジェクトの目的

 地球内部を構成する鉱物およびその構成体の力学特性をさまざまな温度圧力条件において数値計算により決定することにより、固体地球におけるさまざまな現象の基礎的な物理量を提供し、複合的な地球現象の理解に資することを目的としている。

2.今年度当初の計画

 地球内部を構成するペロフスカイト、ペリクレースの空孔拡散係数を超高圧・高温まで、改良分子動力学法を用いて計算する。経験的ポテンシャルおよび第一原理計算を用いる。また、改良分子動力学法により超多体をもちいて、直接空孔拡散変形計算をおこない、流動則を決定する。

3.今年度得られた成果、および達成度

<成果>

 われわれの(地球シミュレータ物性)グループは、前年度までに、結晶内拡散の拡散係数が高精度に決定可能なプラットフォームを構築して、下部マントルのMgO ペリクレースに適用し、下部マントルの最深部で圧力が拡散を促進することを発見した。今年度さらに技術開発を進め、非静水圧条件においても計算可能になった。構築したソフトウェアを用いてシミュレーションを行った結果、非静水圧性によってもたらされる拡散係数の異方性の観察にはじめて成功した。同時に拡散係数の異方性の温度、圧力、差応力依存性を調べ、温度圧力依存性は共に負であることを発見した。また、1軸圧縮の条件下において、差応力依存性の正の依存性が再現された。本研究によって非静水圧下における結晶内拡散のシミュレーションがはじめて成功した。

<達成度>

 第一原理計算分子動力学法による空孔拡散実験は未完成であるが、空孔拡散支配型変形の直接分子動力学計算による変形実験に成功した。80%