平成16年度地球シミュレータ研究プロジェクト利用報告会

利用責任者名 : 渡邉 國彦 (海洋研究開発機構 地球シミュレータセンター)

プロジェクトテーマ : 連結階層シミュレーションアルゴリズムの開発

PDF 発表資料 ( 1MB)

発表要旨

1.プロジェクトの目的

 本プロジェクトの目的は、従来行われてきた、一定の時間・空間スケールの範囲での個別階層シミュレーションに対し、階層間のフィードバック相互作用を可能な限り無撞着に結合する「連結階層シミュレーションアルゴリズム」を開発することにある。例えば、全地球規模の大気循環というマクロプロセスと、雲や雨の生成というミクロプロセスを結合する、あるいは、プラズマにおいては、磁気流体としてのプラズマというマクロプロセスと、電子やイオンレベルの粒子的描像のミクロプロセスを結合する。連結階層シミュレーションアルゴリズムを開発することによって、シミュレーション研究を、要素還元論とは逆に、人間を取り巻く世界を総合的に眺め、未来を予測、設計する方法論に昇華させる。

また、HPFコンパイラの改良点を明らかにするとともに、新規機能についても検討する。

2.今年度当初の計画

 本プロジェクトで開発するアルゴリズムには、ア)時間スケールと空間スケールが両方とも大きく異なるプロセスを結合する連結階層アルゴリズムと、イ)どちらか片方のスケールだけが大きく異なるプロセスを結合させる簡易連結階層アルゴリズムの2つがある。今年度は、前者の対象として、1)磁気圏・電離層相互作用によるオーロラアーク、2)宇宙プラズマにおける爆発的現象、後者の対象として、3)大気・海洋・全球・日本領域・局所(都市部)結合シミュレーションの開発を予定した。

3.今年度得られた成果、および達成度

<成果>

  1. オーロラアークについては、磁気圏・電離層相互作用によるマクロ不安定性、それによって生じた局所電流によるミクロ不安定性と粒子加速、また、加速電子による電離層条件の変化を取り入れたシミュレーションに成功した。
  2. 宇宙プラズマについては、磁気流体シミュレーションコードと粒子シミュレーションコードの地球シミュレータへの最適化を行い、更に結合させる準備として、ミクロプロセスと交換すべきマクロプロセスにおける局所情報の抽出を行った。
  3. 10Kmメッシュの全球モデルと、2.4Kmメッシュの領域モデルの結合を行い、全球・領域結合モデルで台風による集中豪雨の検証を行った。

<達成度>

  1. については、プロジェクト初年度計画としては、100%以上の成功である。
  2. については、現在、結合を準備中であり、今年度末あるいは次年度の早い時期にプロトタイプの完成が期待でき、当初計画を十分に達成していると言える。
  3. については、初期条件としての観測データが把握できている場合、全球・領域結合モデルによる過去の台風の影響がかなり正確に再現でき、十分な成果を上げたと考える。