平成16年度地球シミュレータ研究プロジェクト利用報告会

利用責任者名 : 古川 正夫 (宇宙航空研究開発機構)

プロジェクトテーマ :ロケットエンジン内部流れのシミュレーション

PDF 発表資料 ( 1.12MB)

発表要旨

1.プロジェクトの目的

2.今年度当初の計画

 ロケットエンジン内部流れの大規模非定常シミュレーションの実現に向け、ターボポンプ非定常流れ解析コードの開発、および壁乱流の粗視化モデルの構築を目的とした高レイノルズ数平行平板間乱流のDNSを行う。具体的には、ターボポンプ内の非定常な流れを精度よく解析し、内部に発生するキャビテーションの影響を定量的に捉える準備段階として、遠心ポンプ内部流れの非定常解析に対する精度検証及びキャビテーション流れ解析の基礎検証を行う。検証結果をふまえ、開発したコードをインデューサ内部のキャビテーション流れに適用し、インデューサ内部に発生するキャビテーションの影響の定量評価を行う。また、世界最大のRe数平行平板間乱流のDNSを行い、高レイノルズ数特有の乱流理論や、壁遠方における大規模構造が様々の統計量に与える影響を調査し、詳細な乱流運動量・エネルギー輸送機構モデルの構築の指針を得る。

3.今年度得られた成果、および達成度

<成果>

  ロケットエンジンの不具合解明のため、急遽SRB-Aガスリークのシミュレーションを実施した。実形状をよく再現する非構造格子法を使い、実機及び地上試験とほぼ一致する高温ガスリーク流れを再現し、不具合原因を立証した。ターボポンプ内部の非定常流れに関する精度検証及びキャビテーション流れの基礎検証において,ともに実験値に比べ良好な結果を得た。世界最大のRe数(Ret = 2320)平行平板間乱流のDNSを行い、従来実験により確認された高レイノルズ数乱流理論が成立することをDNSで確認した。大規模構造はアクティブに乱れを生成、壁近傍の統計量にも影響を与えるなど、重要で新たな知見を得た。

<達成度>

  インデューサ内部のキャビテーション流れ解析については、非定常流れ評価の精度検証、キャビテーション流れの基礎検証に関しては目標をほぼ達成した。更に高レイノルズ数乱流構造のダイナミクス解明も順調に進み、壁乱流の粗視化モデル構築のための指針が得られた。また急遽実施することになったロケットエンジンの不具合解析に対しても、これまでに構築した汎用性の高いプログラムを適用し、実現象理解にきわめて有用な結果を得ることができた。