■発表要旨
1.プロジェクトの目的
2003年度の本プロジェクトを継続し、気相、液相、固相が混在していたり相転移を起こしながら内部構造を作るような複雑な系に対して、粒子系に基づく離散モデル(DEM-Discrete Element Method)と粒子系-連続体系カップリングモデルを構築し、大規模シミュレーションのための計算手法と技術を確立する。そして、幾つかの重要な応用問題に適用し、複雑多相系の現象の解明と解析、予測に役立てる。具体的には、1)粒子-流体の混相系問題として血球成分の変形性も考慮した血流と高炉内粒子運動と、2)固体-粒状体-流体の混相系問題として、地盤、岩盤、地殻及びプレート運動と、3)気液相転移問題として沸騰・爆発現象を扱う。
2.今年度当初の計画
- 血流: 2003年度に構築したコードのベクトル化および並列化を行い,計算効率を向上させる.これにより,複数個の赤血球の相互作用がマクロな血流特性に及ぼす影響を調べることができるように,大規模自由度程度の系を対象とした計算コードを開発する.
- 高炉: 粒子+流体のカップリングコードの最終チューニング。動作確認後、シミュレーションを行い、キャリブレーション、パラメトリックスタディを行う。
- 地盤、岩盤、地殻、プレート: 粒子-間隙水2相系による液状化コードの開発を終了させ、砂地盤の静的及び動的せん断強度に関するシミュレーションを行う。また、地殻、プレート運動のシミュレーションのための大規模ベクトル並列計算コードを新たに開発する。
3.今年度得られた成果、および達成度
<成果>
- 血流: 計算コードの開発は終了し、128ノードでの血流シミュレーションを行った。その結果、赤血球の変形特性が血管内での整流作用を生み出すことが新たに明らかになった。
- 高炉: 固体粒子+流体のカップリングコードのベクトル・並列計算の最終チューニングを行い、粒子数がマクロな特性に与える影響についての評価を行った。
- 地盤、岩盤、地殻: 間隙水の影響を考慮した3軸圧縮用DEMコードを開発し、静的及び繰り返しせん断のシミュレーションを行い、その性能を確認した。また、新たに地殻、プレートモデルのための4体粒子モデルQDEMを開発した。
<達成度>
血流問題は、2次元モデルで、2000×100赤血球の問題が達成され、マクロな特性も得られたことで、当初の予定をクリアした。高炉問題についても順調に進んでいる。地盤、岩盤問題は新たなモデル開発が終了し、プロダクションランに期待がかかる。