平成16年度地球シミュレータ研究プロジェクト利用報告会

利用責任者名 : 高田 俊和 (バイオシミュレーション研究者の会)

プロジェクトテーマ : バイオシミュレーション *サブテーマを含む

PDF 発表資料 ( 1.17MB)

発表要旨

1.プロジェクトの目的

  生体分子の機能発現メカニズムを、分子レベルで解析する計算手法及びプログラムの開発と、実際の分子系へ適応することによる有効性の実証を行うことを目的としている。そのための主たる理論的スキームは、分子動力学と密度汎関数法である。また、ゲノム配列と蛋白質配列の自己組織化地図を作成することにより、進化における生物種間の相関を明らかにする革新的な研究にも取り組んでいる。これらの課題を実現するために、以下に示す、6サブテーマを実施している。

 これらは、何れも先端的な研究課題であり、地球シミュレータでの計算により、生体の精妙な機能発現のメカニズムを解明する先駆けとなる成果が期待されている。

2.今年度当初の計画

  先行しているサブテーマ1~3は、プログラムのチューニングなどの準備作業を終え、プロダクションランに、今年度から入っている。また、サブテーマ4と5は、2年目を迎え、本格的シミュレーションに向けて、順調に準備作業が進んでいる。サブテーマ6は、上記テーマと異なり、ニューラルネットワーク手法の応用という点において、地球シミュレータの活用に新しい道を開いている。それぞれのサブテーマの目的は、次のようになっている。サブテーマ1では、蛋白質の機能を電子論的考察から解明することを目的としており、プログラムの整備はほぼ完了した。これから実施するインスリン6量体の計算から、創薬に有効な情報が得られるものと期待している。サブテーマ2では、ヘモグロビンの酸素結合に伴う構造変化のプロセスを明らかにするため、分子動力学法による短時間と長時間のシミュレーションを順次行い、酸素結合部位近傍の速い構造変化と、高次構造のゆっくりした変化について考察することを目的としている。サブテーマ3では、蛋白質がどのようなメカニズムで固有の構造をとるのかという、生物物理の大きなテーマに対して解を与えるべく、56アミノ酸基のab initioフォールディングシミュレーションを行っている。その結果、完全に伸びた構造を出発点として、自然の構造からの主鎖の根2乗平均距離で約6オングストロームまで接近できていることが、これまでのシミュレーションから判明した。サブテーマ4では、異常プリオンの生成機構を解明するためのシミュレーションを一部既に行っており、現在論文を準備中である。サブテーマ5では、数百万原子からなる巨大生体分子のシミュレーションを実現すべくプログラムの開発を行っており、その本格的な性能評価に入るところである。サブテーマ6では、自己組織化法というニューラルネットワークの手法を用い、ゲノム及び蛋白質の配列情報を広範に探索することで、生物種間の相関を明らかにするという、新しい研究分野を開拓している。

3.今年度得られた成果、および達成度

これらについては、各サブテーマリーダに報告をお願いしたので、それらの報告を以下に示す。