■発表要旨
1.プロジェクトの目的
本研究の目的は、大規模シミュレーションによる新しい炉心熱設計手法を開発することである。炉心熱設計には従来からサブチャンネル解析コードが用いられるが、実験結果に基づく構成式を必要とするため、実験データがない場合には高精度の予測は困難である。そこで、原子炉内で起こる沸騰二相流等の熱流動現象を直接的に解く計算科学的手法を用いることによって、実規模試験を必要としないシミュレーションだけによる炉心熱設計手法の確立を目指す。具体的には、革新的水冷却炉をフルサイズで模擬した体系で大規模シミュレーションを行い、炉心内の複雑熱流動現象を計算機上に再現する。
2.今年度当初の計画
- 原子炉燃料集合体内の液膜流挙動を大規模シミュレーションによって解明する。
- サブチャンネル間の乱流混合挙動を大規模シミュレーションによって解明する。
- 気泡流時の気泡の成長過程を大規模シミュレーションによって解明する。
3.今年度得られた成果、および達成度
<成果>
- 燃料棒間隔が1mmよりも狭隘な燃料集合体では、燃料棒間の最も狭い箇所に架橋現象が起こる。
- 狭隘流路では気泡周囲の乱れに依存する圧力差によって乱流混合が起こる。
- 気泡はたくさんの微小気泡の合体により成長し、気泡周囲には複雑な速度分布が形成される。
- 計算科学的手法による炉心熱設計手法の構築に貢献できた。
計算は最高100ノードを使った並列計算で、総メモリーは2テラバイト、計算格子点は約3億点である。
<達成度>
今年度の計画を十分達成できた。得られた成果を革新的水冷却炉の炉心設計に反映できた。