■発表要旨
1.プロジェクトの目的
磁場方式やレーザー方式による核融合プラズマや自然・産業プラズマにおいて、 時間・空間スケールの異なる幅広い階層間の相互作用によって創出される様々な構造形成現象の解明を図り、これによりプラズマが本質的役割を果たす「多階層・複合系概念」に基づくプラズマ理論の構築とそれに基づく応用研究を展開する。具体的研究内容は以下の通り
- 時間・空間スケールの異なるイオン系および電子系乱流、電磁流体力学(MHD)的揺らぎ間の相互作用を含むジャイロ粒子・流体、およびMHDシミュレー ションを実現する。これにより、磁場核融合プラズマの輸送障壁形成やMHD挙動をはじめとした様々の構造形成現象の物理的素過程を解明し、構造形成 概念に準拠した高性能プラズマの実現に資する
- レーザー核融合における爆縮過程の極限状態において出現するレーリーテーラ 不安定性の非線形発展や乱流混合等の複雑な複合ダイナミックスの3次元大流体シミュレーシ ョンを実現し、高効率縛縮のためのレーザーやターゲット設計に反映させる。
- 様々な媒質と光子場・荷電粒子の複雑な相互作用とそれに基づく構造形成過程を再現する原子・緩和過程を含む粒子手法によるシミュレーションを実現する。これにより、放電・雷過程等の複雑な物理過程や、超高強度レーザーと様々な物質との相互作用を通して実現する高強度X線や粒子線源、中性子源開発等の応用研究を推進する。
2.今年度当初の計画
- ジャイロ運動論モデルに基づくミクロスケールの電子系乱流のグローバルシミュレーションを実現し、輸送障壁形成の背後にある物理機構を明らかにする。
- レーザー核融合ペレットの3次元流体シミュレーションを実現し、照射するレーザー条件とレーリーテーラ不安定性の非線形発展と関係を明らかにする。
- 原子・緩和過程を取り入れたシミュレーションにより、放電・雷発生の複雑な構造形成と突発的なダイナミックスの背後にある物理機構を解明する。
3.今年度得られた成果、および達成度
<成果>
主要項目の1,2,3に関して、当初予定していたシミュレーションを実現し、それらの現象に背後にある基本的な物理機構の解明に部分的に成功した。特に、項目1の電子系の乱流構造の具体的様相がはじめて明らかとなり、IAEA核融合エネルギー会議で大きな注目を受けるとともに、項目3では雷発生の第一原理シミュレーションは始めて実現した。
<達成度>
今年度の達成目標は以下の通り。
- (磁場核融合プラズマ): 達成度A
- (レーザー核融合プラズマ): 達成度A
- (基礎プラズマ): 達成度A