■発表要旨
1.プロジェクトの目的
地球内部を構成するコアとマントルは共に対流系であり、その境界面を介して相互に影響を及ぼしあっている。熱伝導度や密度に関してみればコアとマントルはほぼ同じ媒質からなると言ってよい。一方、粘性率は極端に異なる。地球内部を、連結された二重対流系とみなし、その二つの系の粘性率コントラストを次第に大きくしていったとすると、そこに何か漸近的な性質が存在するであろうか。このような問いに大規模な計算機シミュレーションを通じて答を得るのがこのプロジェクトの大きな目標の一つである。たとえばダイナモによって生成される磁場の逆転頻度に関して何か普遍的な性質が見つかれば、それは地球科学的に重要な意味をもつであろう。本プロジェクトは今年度が三年目である。我々はこれまで、コアとマントルの結合シミュレーションを実現するために独自の計算手法やプログラムを開発してきた。今年度はこれまでの成果を統合し、コア・マントル結合コードを完成させて、連結二重対流系としての地球科学を研究する。
2.今年度当初の計画
- 我々が独自に開発した計算格子「インヤン格子」を用いたコア(ダイナモ)コードを改良する。
- 特に磁場の境界条件を改良するためにインヤン格子でポアッソンソルバを実現する。
- インヤン格子を用いた球殻マントルコードを改良する。
- 我々が独自に開発したマントル対流シミュレーション手法ACuTE法を応用する。
- コア(ダイナモ)コードとマントル対流コードの結合を行う。
- コアとマントルの結合部分のモデルを改良する。
3.今年度得られた成果、および達成度
<成果>
- コア・マントル結合コードの開発
- インヤン格子に基づき、コアとマントルを結合二重対流系として解くコードを開発した。
- インヤン格子法の発展
- 球の合同分割とインヤン格子法との関係(Kageyama, JES)
- インヤン格子法の広がり(既に使われている大気・海洋コードに加えて新たに)
- Prof. M. Norman(USCD)、天体シミュレーションで有名なZeusコードへ組み込み
- 荻野竜樹教授(名古屋大)、磁気圏・電離層結合コードで採用
- Prof. E. Mueller(マックスプランク)、超新星爆発シミュレーションコード
- コア(ダイナモ)コードの改良
- マルチグリッド法の導入による高速ポアッソンソルバの開発に成功(Kageyama & Yoshida, J. Phys.)。
- マントル対流のためのACuTE法の改良と応用
- マルチグリッド法のES最適化(Kameyama, JES)
- ポストペロブスカイト相転移の研究への応用(Kameyama & Yuen, EPSL)
- インヤン球殻マントル対流シミュレーション
- 粘性率の温度+深さ依存性の影響(Yoshida & Kageyama, JGR)
- マントル対流による物質混合の研究
- その他の成果
- 地球科学シミュレーションに最適な双極子座標の提案(Kageyama et al., C & G)
- 回転系の見かけの力のオイラー的導出法(Kageyama & Hyodo, G-cubed)
- 報道など
- 4月:NHK教育「科学大好き土曜塾」でダイナモシミュレーションが紹介された。
- 5月:東京新聞科学面でダイナモシミュレーションが紹介された。
- 日経サイエンス7月号でダイナモシミュレーションが紹介された。
- 日経サイエンス9月号でダイナモシミュレーションの立体可視化が紹介された。
- 2006年1月。TBSテレビでマントル対流シミュレーションが紹介された。
- 招待講演
- 6月:SciDAC 2005 (サンフランシスコ)でInvited Plenary Talk
<達成度>
達成度:70%