■発表要旨
1.プロジェクトの目的
固体地球シミュレーション・プラットフォーム「GeoFEM」において,プラグイン形式による解析システム結合,大規模線形システムの高速並列解法,大規模並列可視化,その他の汎用的解析支援機能に関する研究を行う。具体的な項目は以下の通り:(1)並列反復法によるSMPクラスタ向け高速ソルバーの最適化,性能評価 (2)並列メッシュ生成,並列固体地球シミュレーション,連成解析カップラー,並列可視化からなる統合化プラットフォーム開発 (3)西南日本地震発生サイクル解析,地球外核電磁熱流動解析,へのプラットフォームの適用 (4)地下水流動・物質拡散解析,津波シミュレーション,実機工学問題解析の実施 (5)構造格子系,離散粒子系へのプラットフォーム拡張
2.今年度当初の計画
本年度は,プラットフォームの機能拡張と実用化へ向けて下記を実施予定であった
- 悪条件問題向け(有限要素法,境界要素法)並列ソルバーの開発,実装,検証。
- 代数的多重格子法(Algebraic Multigrid)による多重格子ソルバーの開発,検証。
- 並列適応格子機能,動的負荷分散機能の開発,実装,検証。
- 可視化機能を中心とした粒子系へのプラットフォーム拡張,実装,検証。
- プラットフォーム実用化のため固体地球分野内各グループとの連携を深めるほか,非構造格子,有限要素法によるアプリケーションに関係した他分野とも積極的に連携していく。
3.今年度得られた成果、および達成度
<成果>
- 局所細分化メッシュを利用して,複雑断層面上のすべり応答関数を求めるために,fill-inを深くとるILU系前処理を適用した悪条件方程式向け並列ソルバーを開発した。並列時の前処理性能低下を防ぐため,領域間オーバーラップの拡張を実装した。また,反復回数が増加抑制のため,RCMオーダリングが有効であることがわかった。
- 局所細分化メッシュを含む系に対する,マルチレベル解法の開発,最適化,予備的計算を実施した。
- 粒子法に関する並列可視化機能を拡張した。
- プラットフォームを利用して,海綿骨応力解析のための並列有限要素法解析プログラムを開発し,実験モデルを使用した大規模シミュレーションを実施した。
- プラットフォームを拡張して,タンパク質構造解析コードを開発,最適化し,大規模シミュレーションを実施した。開発したFast Multipole Method(高速多重極展開法)カーネルは,ライブラリとして整備することにより様々な分野のシミュレーションにおいて利用可能である。
<達成度>
- プラットフォーム拡張に関しては,悪条件問題向けソルバー,マルチレベル解法,並列可視化機能の拡張などの点で進展があったものの,一部可視化機能の最適化の遅れ,動的負荷分散機能が未整備な点もあり,全体としての達成度は70%程度である。
- プラットフォーム実用化に関して,固体地球分野に関しては,①で述べたプラットフォーム拡張の未整備事項とも関連して,達成度は75%程度であった。
- 工学的問題に関しては,海面骨応力解析,タンパク質構造解析などの分野の大規模シミュレーションの適用という点で大きな成果があった。ただ,悪条件問題向けソルバーの適用が実施できなかったため,達成度としては90%程度である。