■発表要旨
1.プロジェクトの目的
- 3次元的に不均質な媒質中を地震波が伝播し、地表に強震動を生成するプロセスを大規模並列シミュレーションにより明らかにする。
- 地殻・上部マントル構造を百~数百メートルの分解能でモデル化し、プレート境界や内陸活断層の破壊に伴って放射される地震波の伝播と強震動生成を計算する。
- 近年の地震観測データとシミュレーション結果の比較からモデルの高精度化をはかり、将来発生が予想される大地震の強震動の高精度予測モデルを確立する。
2.今年度当初の計画
- 海洋プレート沈み込み帯の高精度構造探査や、首都圏で進められている堆積平野構造探査から得られた最新の成果を取り入れた高精度波動伝播・強震動シミュレーションを実施し、近年の大地震、過去の被害地震の揺れを再現する
- 現有の「マルチグリッド並列FDM計算法」の並列効率を高め、256ノード以上を用いた大規模計算においても高い並列化効率が得られるように最適化をさらに進め、大規模計算の環境を整備する。
- 計算から求められた3次元地震波動場の物理の理解を助けるために、大容量3次元データの可視化技法の開発を進める。
3.今年度得られた成果、および達成度
<成果>
- 2004年新潟県中越地震の揺れの伝わり方を、日本列島の高精度地下構造モデルを用いた大規模数値シミュレーションから再現・可視化し、高密度強震観測データとの比較により関東平野の長周期地震動の生成過程を詳しく調査することができた。この成果は、大型人工構造物の設計や防災計画に役立てられる予定である(80%)。
- JAMSTEC/IFREEで開発された、海洋プレート沈み込み帯モデルを用いて2004年紀伊半島南東沖の地震の波動伝播シミュレーションを実施し、地震観測データとシミュレーションとの比較からモデルの検証と物性値の調整を行った。これにより、将来南海トラフで発生する巨大地震の強震動計算の高精度化が大きく進んだ(80%)。
- 関東直下で起きた被害地震である、1894年明治東京地震(M7)のシミュレーションを実施し、震度分布との比較から、この地震がフィリピン海プレートと太平洋プレー境界付近で起きた、深さおよそ45kmの地震であったことを明らかにした。この成果は、関東直下の地震の発生予測と被害想定を考えるための基礎資料に役立てられる(70%)。
<達成度>
- 80%
- 80%
- 70%