■発表要旨
1.プロジェクトの目的
複雑なテクトニック環境の下にある日本列島及びその周辺域を一つのシステムとしてモデル化し,プレート運動に伴う長期的な地殻変形から大地震の発生まで,時間・空間スケールの著しく異なる地殻活動現象を統一的且つ定量的に予測する並列シミュレーション・ソフトウェアを開発する.同時に,広域GPS観測網や地震観測網からの膨大な地殻活動データを解析・同化する並列ソフトウェアを開発し,モデル計算と観測データを併合した日本列島域の地殻活動の大規模予測シミュレーションを行う
2.今年度当初の計画
平成16年度に完成させた地殻活動統合シミュレーション・プロトタイプモデルのチューニングを進めると同時に,広域GPS観測網や地震観測網からの膨大な地殻活動データを解析・同化する並列ソフトウェアを開発する.また,米国カリフォルニア大学のRundle教授のグループと協力して、典型的な横ずれプレート境界であるサン・アンドレアス断層系を対象とした同種の大規模シミュレーションモデルを開発する.
3.今年度得られた成果、および達成度
<成果>
- プレート境界での準静的応力蓄積過程シミュレーションモデルの空間分解能を8 kmから2 kmへ向上させることで,中規模スケールの動的破壊伝播シミュレーションとの連成を可能にした.
- 国土地理院GPS観測網(GEONET)データの日本列島域規模での同時解析を目標として,最も複雑なテクトニック環境の下にある関東地域を対象にインバージョン解析ソフトウェアの開発と検証を行った.
- 広域地震観測網からの膨大な地震活動データから地殻内応力場を推定するインバージョン解析法を開発し,東北日本のデータ(Seismic Moment Tensor Catalogue / NIED)を用いてその有効性を検証した.
<達成度>
- 地殻活動統合シミュレーション・プロトタイプモデルのチューニング:80%
- 広域地殻変動データのインバージョン解析ソフトウェアの開発:100%
- 広域地震活動データのインバージョン解析ソフトウェアの開発:100%
- サン・アンドレアス断層系の大規模シミュレーションモデルの開発:30%(2006年スタートのiSERVO国際共同研究課題としてモデルの概念設計を行った).