■発表要旨
1.プロジェクトの目的
様々な自然現象や工学システムのダイナミクスにおいては、マクロスケールとミクロスケールの物理過程が相互に連関したマルチスケール現象が重要な役割を果たす。本プロジェクトの目的は、それぞれのスケール(階層)に適合した計算モデルを有機的に連結することによって、マルチスケール現象のシミュレーションを精密かつ効率的に実現することができる連結階層シミュレーションのアルゴリズムを開発すると共に、様々な問題への適用を通してその有効性を実証することにある。さらに、マルチスケールサイエンスにおける主たる方法論としての連結階層シミュレーションの一般化を探り、シミュレーション科学の可能性を開拓する。
2.今年度当初の計画
本プロジェクトは平成16年度より開始され、第1年次である昨年は連結階層シミュレーションのプロトタイプとして電磁流体モデルと静電プラズマ粒子モデルの連結からなるオーロラ発生のシミュレーションの基礎開発を行った。本年度の計画では、この成果をさらに発展させ、以下の問題に関する連結階層シミュレーションの研究開発を実施する。
- (1) オーロラ及び太陽フレアの発生過程に関する流体粒子連結モデルの開発を行う。
- (2) 雲微物理を正確に取り扱うモデルを開発すると共に、これを大気モデルと連結する手法の開発を行う。
- (3) 燃焼など化学反応過程を含む流体ダイナミクスを、正確に取り扱うことができる流体粒子連結モデルの基礎開発を行う。
- (4) 固体の異なる階層のダイナミクスを連結するためのアルゴリズム開発を開始する。
3.今年度得られた成果、および達成度
<成果>
計画された4項目全てに関して下記の通り十分な成果を得ることができた。
- (1) 磁気リコネクションのマルチスケール過程をセルフコンシステントに取り扱うことができる流体粒子連結モデルの基礎開発を行うと共に、フレア及びオーロラ発生の精密な3次元シミュレーションを実施した。
- (2) 超粒子法を用いた全く新しい雲微物理モデルの新規開発に成功すると共に、その計算精度、計算効率、応用可能性に関する精緻な検証を実施した。さらに、雲微物理モデルと大気流体モデルとの連結を行い、雲成長過程のシミュレーションを実現した。
- (3) DSMC法によって非熱平衡過程においても化学反応を正確に計算することができる粒子モデルを新たに開発すると共に、これを用いてデトネーション(爆轟)形成のシミュレーションに成功した。さらに、DSMCと流体モデルの連結手法に関する研究開発を行った。
- (4) 固体破壊現象をターゲットとした連結階層シミュレーションのためのマクロ及びミクロモデルの基礎開発をそれぞれ行った。
<達成度>
100%