平成17年度地球シミュレータ研究プロジェクト利用報告会

プロジェクト名 : 地下空間における放射性核種移行と地下水挙動の大規模シミュレーション技術に関する研究

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発表要旨

1.プロジェクトの目的

高レベル放射性廃棄物の現実的な処分場モデルおよび不確実性を考慮した解析は、その莫大な計算負荷のため従来不可能であった。本研究は、地層処分シミュレーションに必要な、放射性核種移行と地下水挙動に関する計算コードを地球シミュレータ上で最適化し、廃棄体4万体から構成される実サイトを模擬したフルスケールの詳細シミュレーションを、処分場設計パラメータの不確実性を考慮しつつ、100万年スケールの長期間に関して実施し、処分場建設地選定に向けた安全評価に資することを目的とする。また、当該分野における様々なシミュレーションを効率的に実施するための、大規模並列データ処理、大規模並列可視化、大規模並列線形ソルバー解法に関する共通的基盤を整備し、現在開発、整備中、あるいは今後開発されるシミュレーションコードを効率的に利用する環境を整える。

2.今年度当初の計画

① 高レベル放射性廃棄物処分場の大規模地下水流動および物質移動解析(処分場FF(Far Field)解析:GeoFEM-HLWコード)

廃棄体数千体から構成される処分場FFモデルの有限要素法による大規模地下水流動計算、および物質移行計算を行う。GeoFEM-HLWは、塩淡境界計算コードGwsol、および確率地下水流動・物質移動計算コードGeoFEM-gwpから構成される。

② 亀裂の確率的取り扱いを考慮した高レベル放射性廃棄物処分場の地下水および物質移行解析(処分場NF(Near Field)解析:FFDFコード)

廃棄体数百体から構成される亀裂を考慮した処分場NFモデルの有限要素法による地下水流動計算、およびモンテカルロ法による物質移行計算を行う。

③ 高レベル放射性廃棄物処分場の不確実性解析(処分場NF解析:VRコード)

昨年度フルノード拡張したVirtual Repositoryコードを利用して、廃棄体数百体から構成される処分場NFモデルの不確実性解析を行う。

3.今年度得られた成果、および達成度

<成果>

① GeoFEM-HLWを地球シミュレータに最適化した結果、ベクトル化率98.91%、並列化率99.993%、500ノード拡張を達成し、5億節点モデルの解析を実現することができた。その結果、処分場FFの塩淡境界を含んだ地下水中の核種の物質移行を数万年スケールで評価することができた。<達成度90%>

② FFDFによる処分場モデルの大規模解析により、従来は計算不可能であった、亀裂により連結される廃棄体数の確率密度関数を求めることができた。コードの性能評価を行った結果、本アプローチを直接適用して全処分場モデルの解析を実施することはフルノードを利用しても困難であることが判明したが、本計算で得られた知見を③に反映させた。<達成度90%>

③ 前項で求められた亀裂により連結される廃棄体数の確率密度関数を利用して、亀裂を考慮した高レベル放射性廃棄物処分場において、237Np のFFへの放出率評価を行う新解析手法を開発した。昨年度フルノード拡張したVRコード(処分場の複数廃棄体モデルの物質移行解析コード)に新手法を適用し、従来は計算不可能であった亀裂を考慮した処分場の不確実性解析を実現した。その結果、地質環境の不確実性の代表的な一つである、亀裂の不確実性が処分場性能に与える影響を定量的に評価することができた。<達成度90%>

<達成度>