■発表要旨
1.プロジェクトの目的
スケールの異なる階層間の影響を取り入れた大規模な計算機シミュレーションにより、多階層複合系の典型例である高温プラズマの閉じ込めに関する中心的研究課題の解決を図る。より具体的に、今年度は磁場閉じ込めプラズマにおける異常輸送問題に焦点を当て、高温プラズマ乱流を多次元位相空間内の分布関数変動のレベルから直接扱う大規模なジャイロ運動論的シミュレーションを行う。これにより異常輸送現象の実相を明らかにし、輸送レベルの予測とその低減に関わる研究に寄与することを目的としている。
2.今年度当初の計画
- (1) 5次元ジャイロ運動論的ヴラソフ・シミュレーション・コードの地球シミュレータへの最適化(ベクトル化・並列化手法についてのコードの改良を含む)
- (2) トカマク配位でのイオン温度勾配 (ITG) 乱流輸送の全トロイダル角シミュレーション
- (3) トカマク配位での電子温度勾配 (ETG) 乱流輸送のシミュレーション(ITGとの比較)
- (4) ヘリカル配位でのITG乱流輸送解析のためのシミュレーション・コードの拡張
- (5) ヘリカル配位でのITG乱流輸送のシミュレーション
3.今年度得られた成果、および達成度
<成果>
- (1) トカマク配位におけるプラズマ 乱流輸送を解析するために、5次元ジャイロ運動論的ヴラソフ・シミュレーション・コードを地球シミュレータ用に最適化し、実効性能約4.8Tflops(192ノード利用での概算)を達成し、従来に比べ約10倍の高速化がなされた。
- (2)トカマク型装置の全トロイダル角を扱う大規模なITG乱流シミュレーションを行った。従来のシミュレーションと比して揺らぎによる影響が小さく確度の高い乱流輸送係数の予測が可能となり、高次の非線形性が関わる帯状流(平均流)による輸送抑制機構が新たに見出された。
- (3) トカマク型装置におけるETG乱流による電子熱輸送のシミュレーションを行い、ITGによるイオン熱輸送に比べより大きな輸送を観測した。現在さらに研究を進めている。
- (4) 5次元ジャイロ運動論的ヴラソフ・シミュレーション・コードをヘリカル型配位に適用できるようにコードの拡張を行った。
- (5)ヘリカル型配位におけるITG不安定性のシミュレーションが可能となり、乱流解析をはじめる準備を整えた(ヘリカル型配位での乱流シミュレーションは平成17年度末までに行う予定)。
<達成度>
(全体;H17.12現在) 75% [内訳: (1)100% (2)100% (3) 60% (4) 90% (5) 25%]