■発表要旨
1.プロジェクトの目的
気候システムの有する数十年程度の変動までを再現できる大気・海洋・陸面結合大循環モデル(以下結合モデル)を開発する。大気部分の解像度として水平には100kmから200kmを中心に最大で20km、鉛直には30~120層をとる。海洋部分に関しては水平に20kmから100km程度を中心に考え、鉛直に30~60層をとる。モデル開発においては国内の他のモデル開発機関との共同開発を目指し、開発されたモデルは一定のガイドラインを定めた上で広く利用されるよう取り計らう。モデル開発の出発点としては共生第1課題で用いられているCCSR/NIES/FRCGCモデルを用いる。
2.今年度当初の計画
- 物理過程の検討----新放射コードランのデータをもとに積雲対流モデル、大気境界層モデル、海底境界層モデル、内部重力波の取り扱いについて引き続き検討。
- モデル出力、客観解析データの解析、及びメカニズム解明に関する数値実験 ----太平洋高気圧、亜熱帯高気圧東部域の大気境界層、モンスーン域での降水に関する解析に着手。超高解像度大気大循環モデルの降水の検討を継続。山岳に関する影響実験の開始。
- 古気候実験によるモデルの検討----最終氷期、及び完新世中期の気候再現に関する数値実験を継続。最終氷期実験を通した気候感度の検討の開始。
3.今年度得られた成果、および達成度
<成果>
- に関し、改良型メラー・山田境界層乱流モデルを鉛直1次元大気モデルに組み込み、テストを開始した。また、ペルー沖の亜熱帯高気圧東部域におけるモデル大気下層の状態を検討し、背の低い積雲が立ちにくいこと、ペルー沖で層雲が少なすぎること、を確認し、改善に着手。積雲対流の立ち方、降水、卷雲の立ち方などについては、格子点における各時間ステップのデータに基づく調査を開始。赤道準2年振動(QBO)にとって内部重力波が重要であることは確立しているが、その再現性を改善するための研究にも着手。
- に関し、モデル太平洋高気圧の気候的振舞の現実性の調査を開始した。また、スマトラ島における降水について、気象研究所20km大気モデル結果、4kmの領域気候モデル結果、及びTRMMデータと比較。
- に関し、中解像度の結合モデルでCO2x2倍、4倍、8倍実験を行ない、フラックス調節のある低解像度モデルの結果と比較しつつ、特に氷床の動向に注目した実験を開始。
<達成度>
結合大循環モデルの改良のために、複数のテーマに関して取り組み中、ないし取り組みを開始したところであり、それぞれについて結論や結果がまだ得られていないが、目標達成に向けて通らねばならない道を歩んでいる途中である。(70%)