■発表要旨
1.プロジェクトの目的
全地球的課題である広域水循環の予測技術とその対策技術の高度化を目的に、地球シミュレータによる全球的気候変動予測,高精度な領域/局所モデルの開発とそれを用いたアジア・モンスーン水循環の高精度把握を進める。
2.今年度当初の計画
(1) 東アジア域の大気・陸域・海洋水循環変動に伴う災害予測に関する研究
東アジア域の水循環変化に伴って発生する水資源・水災害を予測できる大気・陸域・海洋水循環統合モデルの開発をめざす。特に、地球シミュレータでは高解像度大気海洋結合モデル(T213)を使ってインドシナ半島の森林伐採を仮定した植生改変シナリオ実験を実施し、西太平洋熱帯域での台風活動の変化を調べる。
(2) 西アジア乾燥地域の砂漠緑化に伴う降雨促進に関する研究
サウジアラビア紅海沿岸の海洋性砂漠を緑化した場合に、沿岸部に隣接する山岳地帯で降雨が促進される可能性とそのメカニズムを、領域気象モデル(RAMS)を用いて調査する。
3.今年度得られた成果、および達成度
<成果>
(1) インドシナ半島の植生を樹林から耕作地に改変すると、東アジアモンスーンとENSOがともに強まり、その結果台風活動に関して、年間を通しての気候的発生頻度は変化しにが、夏季(6-8月)におけるエルニーニョ期の台風活動は顕著に活発化することがわかった。
(2) 紅海沿岸の砂漠を緑化した場合、緑化地域の気温が低下し、相対湿度が増加するため、夜間は、霧が発生し、降雨量が増加する可能性があることが分かった。
<達成度>
地球シミュレータのリモートアクセスを利用して長期計算を行う予定であったが、リモートアクセスが利用できず、現状では最初の計画の50%程度である。今後、長期計算に向けて急ぐ計画である。