■発表要旨
1.プロジェクトの目的
本プロジェクトは、共生課題1の再編を受けて、(1)開発された高解像度大気海洋結合モデルによる解析を中心にを開発して、地球温暖化予測の高度化を図ること、とりわけ、地域的な気候変化に関する情報を得る、(2)今後の温暖化防止の新シナリオ作成に向け、CO2濃度安定化シナリオ等のエネルギー需給分析を行うこと、を目的とする。また、引き続き、気候モデルの高度化に取り組む。
2.今年度当初の計画
サブ課題(1)では、今年度は、前年度までに終了した、IPCC第4次報告書に向けて行った温暖化予測に関するシミュレーション結果を補強する研究を行う。具体的には、①高分解能海洋モデルの性能チェック、②結合モデルにおける大気モデルと海洋モデルの分解能の差に関する研究、③大気と海洋の結合のインパクトに関する研究、さらに、④20世紀気候再現シミュレーションの結果解析の高度化である。 サブ課題(2)では、危険な人為的干渉の理解を深めるため、途上国の化石燃料消費増を考慮したシナリオ等について温暖化予測計算を行う。さらに、大気モデル、海洋モデルの解像度等について一層の高度化を図る。K1モデルや英国気象局ハドレーセンターのモデル結果を相互比較することにより、日本のモデルの高度化を図る。
3.今年度得られた成果、および達成度
<成果>
サブ課題(1)では、結合モデルに関しては、大気モデルをT213にした結合モデルの積分を開始した。T42,T106、T213の3種類の大気モデル、高分解能、中分解能海洋モデルの任意の組み合わせで積分が可能になった。モデルの組み合わせを変えても、ほとんど、バイアス無く積分が実行できるノウハウを得た。大気と海洋の相互作用を止めたタイムスライス法の有効性については、海面からの蒸発量を過大に評価するため、大陸上の温度に高温バイアスが出ることが分かったが、大陸スケールでの定性的な結果を変えるほどではない事が分かった。20世紀再現シミュレーションでは、20世紀前半、後半の昇温は、更なる統計的検討を行い有意であることが示された。 サブ課題(2)では、今後の温暖化防止の新シナリオ作成に向け、IPCC/SRESシナリオやIEA需要展望等を収集・分析し、特徴を把握した。また、途上国の化石燃料消費増を考慮したA2シナリオの2100年時点の濃度で安定化したシナリオを作成し、温暖化予測計算を行い(実施中)、海氷消滅等の危険な干渉について解析を行った。モデルの高度化については、中層大気を拡充した大気モデル(WACCM)に対し、重力波抵抗の取り扱い等の改良を行い、風速やオゾン濃度分布等で良好な気候値を得た。このモデルを用いて、太陽活動の変化が気候におよぼす影響を評価するための計算を実行中である。海洋関係では、空間解像度0.1度の海氷モデルを新たに開発し、海洋モデルに接続することを目指して、テスト計算を行っている。また、このようなモデルの高度化に資するため、英国気象局ハドレー センターとのワークショップに参加した。
<達成度>
ESが混んでいるために現在のところ達成度は、60%程度である。ただ、おおよその傾向は把握できたと考える。