平成18年度地球シミュレータ研究プロジェクト利用報告会

プロジェクトテーマ : 火山ダイナミクスの数値シミュレーション

PDF 発表資料 (566KB)

発表要旨

1. プロジェクトの目的

本研究では,地球内部のマグマ発生から地表におけるマグマ噴出までの火山現象を,相変化・相分離・熱輸送・乱流を伴う流体力学的問題として数値コードを開発し,火山現象の物理過程に関する理解を進める.

2. 今年度当初の計画

メルト発生・上昇から噴煙の拡大・拡散まで様々な課題を含む火山現象のうち,人工衛星写真や火砕物堆積物などを通して定量的な観測が可能な現象に注目し,数値モデル構築を目指す.

  1. 火山噴煙の3次元数値コードの開発
    特に,(a) 乱流混合,(b) 噴煙-大気混合時の状態方程式,を記述することで (c) 噴煙柱・火砕流といった噴煙特有の現象を再現する.
  2. 火山噴煙の3次元数値コードの改良・高速化
  3. 地形を考慮した火砕流の3次元数値コードの開発・改良
  4. その他,相変化・相分離・熱輸送・乱流に関する数値コードを用いた基礎的研究

3. 今年度得られた成果、および達成度

  1. 火山噴煙の3次元数値コードの開発に成功した.
    • (a) 乱流混合に関しては,3次元座標系で3次精度の計算スキーム,小さなグリッドサイズを用いることにより,ジェットやプルームの室内実験等で得られている一般的な乱流混合の性質を再現することができた.
    • (b) 各地点・毎時間の噴煙と大気の混合比によって流体の比熱比を変化させるという手続きを開発した.これにより,噴煙-大気系の状態方程式を再現することができた.
    • (c) 大気の成層構造を導入することで,噴煙柱・火砕流といった噴煙の特徴的な流れを再現することができた.また,噴出率などの噴出条件を変えた計算を行うことによって火砕流の発生条件を決定できた.
  2. 火山噴煙の3次元数値コードの改良・高速化に成功した.ベクトル化率99.789%,並列化効率98.40%という高い計算効率を実現し,200ノードで計算を実行できた.
  3. 地形を考慮した火砕流の3次元数値コードの開発・改良に成功した.
    爆風および火砕サージ計算のための三次元計算コードを大規模計算用に修正し、地球シミュレータへの移植と高速化を行った.主な具体的作業とその成果は次のとおり:
    • (a) 入力した地形データから任意の領域の3次元計算格子を作れるようにコードの改良を行った.
    • (b) ソースコードを地球シミュレータに移植の後、MPIによるノード間分散処理とOpenMPによるノード内並列処理のハイブリッド型にプログラムを変更した。またベクトル化を行いコードの高速化をはかり,40ノードでの計算を実行できた.