発表要旨
1. プロジェクトの目的
プロジェクトの目的 異なるスケールと法則に支配される複数の階層が連関したマルチスケール問題に対して、各階層に適合した複数のシミュレーションモデルを効果的に連結することで統一的に現象を取り扱うことができる連結階層シミュレーションのアルゴリズムを開発し、マルチスケール問題に対する一般的な方法論を確立する。
2. 今年度当初の計画
- 雲微物理過程を効率よく計算するために独自に開発した「超水滴法」の有効性を検証すると共に、大気力学過程と超水滴法の連結を実現し、局所領域における雲形成の連結シミュレーションを実施する。さらに、超水滴法を大域的領域に拡張する新たな方法を開発する。
- 高速燃焼流体において燃焼領域の分子運動論と燃焼器全体の流体力学過程を連結して計算することができるアルゴリズムを開発し、デトネーションパルスエンジンの連結階層シミュレーションを実現する。
- 太陽フレアなどプラズマ爆発現象の主過程である磁気リコネクション過程において、粒子運動論とシステム全体の電磁流体過程を同時に計算することができる新しいアルゴリズムを、粒子法と電磁流体法の連結によって開発する。
- 固体の摩擦動力学を分子運動論と連続体モデルを連結することによって矛盾なく計算することができるアルゴリズムの開発に取り組む。
- コロイド分散系のマルチスケールの連成問題を、ハイブリッド型分子動力学シミュレーションを用いて地球シミュレータで計算するためのプログラムを完成する。
- 微生物実験室進化を代謝プロセスと培地内環境の変化との連結によって計算する連結階層シミュレーションの開発に必要な基礎的プロセスを明らかにする。
3. 今年度得られた成果、および達成度
「超水滴法」のアルゴリズムを精査し、ビン法など従来の方法に対する有効性を検証した。大気力学過程と超水滴法の連結を実現し、これまでに無い詳細な雲形成のマルチスケールシミュレーションを実現した。さらに、超水滴法を大域的領域に拡張する新たな方法の開発に着手した。
高速燃焼流体において燃焼領域の分子運動論と燃焼器全体の流体力学過程を連結して計算することができるアルゴリズムを開発し、デトネーションの連結階層シミュレーションを実現した。
電磁流体シミュレーションの一部領域にPIC法による粒子シミュレーションを埋め込むことで運動論効果を取り込むことができる新しいプラズマシミュレーションアルゴリズムを開発した。
固体の摩擦動力学を分子運動論と連続体モデルを連結することによって矛盾なく計算することができるアルゴリズムの開発に取り組むと共に、荷電コロイド分散系においてコロイド粒子・イオン雰囲気・溶媒流体の連成問題をとりあつかうシミュレーションコード「KAPSEL」地球シミュレータにポーティングする作業を進めた。さらに、ミクロ経済とマクロ経済モデルを連結した連結階層経済シミュレーションの開発に着手した。