平成18年度地球シミュレータ研究プロジェクト利用報告会

プロジェクトテーマ : 大規模科学計算向け汎用数値ソフトウェア基盤の開発

PDF 発表資料 (479KB)

発表要旨

1. プロジェクトの目的

本プロジェクトでは、平成14年度よりJST CREST「大規模シミュレーション向け基盤ソフトウェアの開発」プロジェクトにて開発を進めている並列基盤数値ライブラリ群 SSI(Scalable Software Infrastructure)の地球シミュレータへの対応を目的とする。

2. 今年度当初の計画

各ライブラリについて、年度内に以下の計画を実施することを目標とした。

  1. 反復解法ライブラリLisの地球シミュレータ対応
  2. 地球シミュレータのハードウェア性能を十分に活用した高速な FFT の実現
  3. 行列計算ライブラリインタフェース SILC(Simple Interface for Library Collections)の大規模分散並列環境およびベクトルアーキテクチャへの対応

3. 今年度得られた成果、および達成度

  1. ベクトル化に関しては、Jagged Diagonal Storage (JDS) 行列格納形式への対応、格納形式間の変換(CRS->JDS)のベクトル化を実施した。また並列化に関しては、JDS 形式に対応したMPI版の開発を完了し、MPI・OpenMPハイブリッド版の試験を行っている段階である。
  2. ベクトル化に関してはメモリアクセスのストライド間隔の調整、ループの反復回数を大きくするためにループ交換を用いて実行性能を向上させた。並列化により、512ノードでの実行時には1ノードの約370倍の性能が得られた。地球シミュレータはノード間通信性能が他の大規模システムに比べて非常に高いため、全対全通信で理論通信性能に近いスループットが得られる。このため、通信回数を優先して1次元分割を用いた。
  3. SILC(Simple Interface for Library Collections)については以下の研究開発を行なった。
    • (ア) NQS 等のバッチ処理システムを採用した計算環境への対応
      クライアント・サーバ方式によらない SILC アプリケーション(ユーザプログラム)の作成方法を検討した。
    • (イ) 計算ノードの OS の機能に制限事項の多い計算環境への対応
      マルチスレッド機能および共有ライブラリの動的リンク機能を用いない SILC サーバを開発した。
    • (ウ) ベクトル計算機への対応
      ベクトル計算機向けにJDS 行列格納形式に対応するとともに、SILC サーバをベクトル化し、実機(NEC SX-6i)での動作検証および予備性能評価を行った。