平成18年度地球シミュレータ研究プロジェクト利用報告会

プロジェクトテーマ : 宇宙の構造形成とダイナミックス

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発表要旨

1. プロジェクトの目的

星、銀河、銀河団など様々なスケールの宇宙構造の形成過程と、観測される種々の活動性の起源を重力、磁気、輻射等による階層間相互作用を含めたマルチスケール、マルチフィジックスシミュレーションによって明らかにしていく。

2. 今年度当初の計画

  1. 解適合格子(AMR)法に基づく重力多体シミュレーションコードを用いて、宇宙質量の大半を担う暗黒物質(ダークマター)がどのように集合合体を繰り返し、銀河や銀河団の骨格を作るに至ったかを10億粒子を用いたシミュレーションによって調べる。
  2. 原始銀河が集積して銀河を形成する過程を超新星爆発による加熱と重元素放出を考慮したシミュレーションによって明らかにする。多層格子法に基づく3次元流体コードを適用することにより、従来よりも計算領域を広げた計算を実施する。
  3. 3次元磁気流体シミュレーションコードを適用してブラックホールに落下する物質が作る降着円盤の進化を明らかにする。
  4. 太陽内部から磁場が浮上し、フレア・コロナ質量放出にいたる過程をシミュレートし、Solar-B衛星の観測結果等と比較して磁気エネルギー解放過程を明らかにする

3. 今年度得られた成果

  1. 解適合格子法に基づく重力多体シミュレーションコードを用いて、10億粒子を用いた宇宙の大規模構造と銀河形成のシミュレーションを開始した。
  2. 10億格子点を用いた銀河形成シミュレーション(Nature誌に発表済)の計算領域を拡大したシミュレーションに着手した。
  3. 3次元散逸性磁気流体コードを用い、降着円盤内部における磁場の増幅・維持過程と降着円盤から噴出するジェットの安定性を調べた。その結果、円盤内部の磁場は磁気圧がガス圧の10%程度になるまで増幅された後、その状態が維持されること、準定常的にジェットが噴出することが示された。
  4. 浮上磁気ループ頂上付近で成長する磁気レイリーテイラー不安定性による構造形成とコロナ加熱過程の3次元磁気流体シミュレーション結果の詳細を論文発表した。本年9月に打ち上げられた「ひので」衛星による太陽磁場観測との比較を目指して表面対流の高分解能シミュレーションに着手した。