平成18年度地球シミュレータ研究プロジェクト利用報告会

プロジェクトテーマ : 超伝導ナノファブリケーションによる新奇物性と中性子検出デバイ ス開発のための超伝導ダイナミクスの研究

PDF 発表資料 (865MB)

発表要旨

1. プロジェクトの目的

最近の超伝導ナノファブリケーション技術の発展により、全く新しいタイプの超伝導デバイス開発の可能性が開けてきた。これに関連し、放射線検出超伝導デバイス開発に関連したシミュレーション研究を行う他、その土台となるナノスケール超伝導体の基礎物性研究を実施する。


2. 今年度当初の計画

当プロジェクトでは、具体的に大きく分けて以下の二つの目標がある。

  1. 超伝導放射線デバイス開発に関連したシミュレーション研究では、中性子飛来の時系列検出、X線やγ線などの放射線検出のためのデバイスシミュレーションを行う他、超伝導体をモザイク状に配置して得られる量子ドットデバイスの研究も行う。
  2. ナノスケール超伝導の基礎物性研究では、巨視的レベル及びミクロレベルでのシミュレーションを行い、ナノ超伝導発現機構の解明を始めとして新奇物性を明らかにする。

3. 今年度得られた成果

上記当初計画の項目に従い、その成果及び達成度を記す。

  1. 超伝導放射線デバイスには、これまで、研究を行ってきた熱応答型と、ジョセフソン接合を使うものに分けることができる。本年度は、ジョセフソン接合に注視し、その量子的振る舞いを明らかにするためのシミュレーションを行った。その結果、極めて高速な全固有状態ソルバーの開発に成功し、接合が示すスウィチングの動的過程をモデル系ではあるが厳密に解くことができた。
  2. ナノスケールの超伝導体が示す基礎量子物性を調べるため、1次元及び2次元系の格子上で強く引力を及ぼし合う量子多体系の基底状態を厳密に解き、格子間隔を最小変位とする非一様な粒子密度分布が僅かな並進対称性の破れに応答して生じるといった新奇現象を発見することに成功した。