平成18年度地球シミュレータ研究プロジェクト利用報告会
プロジェクトテーマ : ロケットエンジン内部流れのシミュレーション
発表資料 (4.41MB)
発表要旨
1. プロジェクトの目的
- 国産ロケット(H―ⅡA)の信頼性向上及び将来型宇宙輸送システムの開発に資する。主要エンジン要素(燃焼器系・供給器系)で発生している諸問題を再現できるCFDコードを開発し、概念設計・システム評価・不具合対策等に使用し、試作・試験のサイクルを短くする。
2. 今年度当初の計画
- 次期ロケットH-IIBロケットで採用されるクラスタノズル(液体ロケットが2基)の設計開発及び昨年度までに進めてきた燃焼室の噴射器流れコードに実在気体効果・低温物性を導入すること。
- H-IIBロケットの開発に資するため、LE-7Aエンジン液体酸素ターボポンプの入口に装備される改良設計インデューサのキャビテーション非定常特性を評価する。インデューサ翼表面の乱流境界層まで解像できるように格子点数2000万点規模の非定常LES解析を実施し、改良設計の候補として挙がっている4種類のインデューサ形状に関して吸込性能、揚程などを評価、さらにキャビテーション不安定性の発生原因を調査する。
- 昨年度までの高レイノルズ数壁乱流計算で得られたデータベースを元に,ロケットエンジン内部流れの数値計算に用いることのできる高精度粗視化モデルの開発を行う.
3. 今年度得られた成果
- クラスタノズルについては、単ノズルについてのノズル内燃焼流による起動時の圧力変動の評価が完了。その結果、クラスタノズル時の問題点が明らかになり、現在解析を継続中。噴射器流れコードについては必要なモデリングが完了。実利用に向け検証を進めている。
- 改良設計の候補として挙がった4種類のインデューサ形状についての大規模非定常LES解析を実施した。それぞれのインデューサ内部流れにおける逆流構造、翼面上の圧力分布等を水流し試験結果と比べた場合、良い一致を示した。また、キャビテーションによって不安定事象が発生しないことを事前に確認することができた。本シミュレーションによって評価されたインデューサは液体酸素ターボポンプ試験に供することが決まっており、H-IIBロケットの開発に大きく貢献することができた。
- 完全発達した高レイノルズ数平行平板間乱流において,高精度粗視化モデルの構築に必要な乱れエネルギーの生成・散逸量をデータベースより求めた.低レイノルズ数では,乱れエネルギーは緩和層のみにおいて超過生成される.他方,高レイノルズ数では,対数領域の一部においても超過生成されることがDNSを用いて初めて分かった.