発表要旨
1. プロジェクトの目的
異なる物理スケールにまたがる大規模な計算機シミュレーションの実行により、多階層複合系の典型例である高温プラズマの閉じ込めに関する中心的研究課題の解決を図る。より具体的に、磁場閉じ込めプラズマにおける異常輸送問題に焦点を当て、高温プラズマ乱流を多次元位相空間内の分布関数変動のレベルから直接扱う大規模なジャイロ運動論的シミュレーションを推進する。これにより異常輸送現象の実相を明らかにし、輸送レベルの予測とその低減に関わる研究に寄与することを目的としている。
2. 今年度当初の計画
- トカマク型閉じ込め磁場配位での電子温度勾配 (ETG) 乱流輸送のシミュレーション(イオン温度勾配(ITG)乱流輸送との比較)
- ITG乱流輸送解析のためのシミュレーション・コード(5次元ジャイロ運動論的ヴラソフ・シミュレーション・コード)のヘリカル型磁場配位への拡張と地球シミュレータへの最適化(ベクトル化・並列化手法についてのコードの改良を含む)
- 大型ヘリカル装置(LHD)磁場配位でのITG乱流輸送のシミュレーション
- 高エネルギー粒子輸送解析シミュレーション・コードの地球シミュレータへの移植
3. 今年度得られた成果
- 標準的なパラメター下でのETG不安定性の非線形飽和と乱流遷移のシミュレーションに世界ではじめて成功した。これにより、同等な条件下でETGとITG乱流輸送の比較研究が可能になり、電子輸送のより強い異常性が明らかとなった。
- ジャイロ運動論的シミュレーション・コードを、従来のトカマク型配位からヘリカル型へと拡張すると同時に、従来と同様の高い実行性能を達成した(192ノード使用で実行性能約5Tflops)。
- 世界にさきがけて、ヘリカル型磁場配位におけるITG乱流輸送のシミュレーションに成功した。大型ヘリカル装置(LHD)を例に、乱流による平均流生成や乱流輸送に対し、ヘリカル磁場が与える影響を明らかにした。
- 高エネルギー粒子輸送解析コードの並列化を進めた。