発表要旨
1. プロジェクトの目的
宇宙利用、開発を効率よく進めるためには、非定常・非平衡である宇宙電磁環境を数値シミュレーションによって定量的に評価し、そこでの宇宙機との相互作用を事前に十分理解しておくことが安全面や経済面など様々な観点からみて非常に重要である。地球シミュレータ上で最適化された宇宙プラズマ粒子シミュレーションコード(NuSPACE)を活用し、実際の衛星観測に応用可能なシミュレーション技術の開発および実証研究を行う。
2. 今年度当初の計画
今年度はコードの検証を具体的な宇宙機環境事例を用いて行う。平成17年度に打ち上げられた小型科学衛星「れいめい」搭載の宇宙環境計測用新型ラングミュアプローブ(CRM)により得られた宇宙プラズマ環境パラメータとNuSPACE数値実験データの比較検討を行い、NuSPACEシミュレーションの妥当性を検証する。
3. 今年度得られた成果
NuSPACEに改良を加え、「れいめい」衛星を模擬した内部境界を宇宙プラズマ空間中に設定できるようにした。次に、衛星側面にCRMに相当するラングミュアプローブを設置したモデルを構築し、それを用いてプラズマシミュレーションを行い、得られたラングミュア電流電圧特性曲線から推定される電子温度、密度などのプラズマ環境パラメータの妥当性についてプローブ理論を用いて検証した。次に、オーロラ電流によって急激に帯電を受けた衛星のモデリングおよびプラズマシミュレーションを行った。その結果、衛星筐体が大きく負に帯電する場合は、シングルプローブでは背景プラズマパラメータの推定は困難であり、ダブルプローブ計測が有効であることを示すことができた。「れいめい」CRMのダブルプローブデータとシミュレーションデータの比較は現在行いつつある。今後、我々のプラズマシミュレーションを観測データの較正に役立てる予定である。