平成18年度地球シミュレータ研究プロジェクト利用報告会

プロジェクトテーマ : 放射線損傷に伴う材料の物性変化と破壊の微視的シミュレーション

PDF 発表資料 (569KB)

発表要旨

1. プロジェクトの目的

原子力材料で重要な課題である金属材料の応力腐食割れや腐食環境にさらされている一般の構造材料の破壊過程においては、水素による材料の脆化が重要であり、過去100年に渡り実験等数多く行われているにも関わらず、そのメカニズムの解明には至っていない。ここでは水素脆化機構の解明を目指し、第一原理計算手法を用いて、転位と水素の相互作用、特に水素による転位運動の誘起効果メカニズムを明らかにするため大規模で高精度な数値シミュレーションを実施する。


2. 今年度当初の計画

BCC金属鉄の転位芯構造の解明、パイエルス応力を精密な(原子数、k-点数がともに大規模な)第一原理計算により決定する。また、モリブデン、鉄と水素の相互作用について解明し、BCC金属の水素に対する機械的特性の変化に関する知見を得る。


3. 今年度得られた成果

231個の鉄原子を含むスーパーセルを用いた大規模で高精度な第一原理計算を実施し、BCC鉄のらせん転位芯構造を求めた。次いで、系にせん断変形を加え、転位が移動するのに必要なパイエルス応力の評価を実施した。これらにより、材料の脆化因子としての転位と水素原子との相互作用を調べるための基本的データを構築出来た。