高解像度データ同化による海洋状態推定
Ocean state estimate by high resolution data assimilation
杉浦 望実
Nozomi Sugiura
本研究では、渦解像海洋データ同化システムの完成度を高めるとともに、モデルの改良を行う。また、構築したシステムを用いて、四次元変分法による北太平洋高解像度再解析データの改善を行い、これを用いて水塊の形成過程やジャイアー間の輸送過程等の物理過程を検討する。
北太平洋を対象とした0.25度メッシュの渦許容海洋大循環モデルに対して、4次元変分法データ同化手法を適用することにより、気候学的平均場の再現性を向上させることに成功した。これまで非線形性が増大する渦許容データ同化システムの開発は困難であったが、ここでは感度を算出するアジョイントコードの粘性係数に工夫を凝らすことにより、感度を発散させることなく注目するスケールの現象を観測データに基づいて効果的に改善させる方法をとった。
得られた高解像度の気候学的海洋場は、渦を許容しつつ、海表面温度だけでなく、亜表層までの水塊の形成と拡がりの再現性に優れた気候学的データセットとなっている。このように、高解像度の4次元変分法を初めて成功させたことは、とりわけフロント域での熱・物質輸送とそれに関連した大気海洋の相互作用ならびに中規模現象の理解と予測の向上に重要な一歩としての意味を持つ。
北太平洋中層水(NPIW)、南太平洋回帰線水(SPTW)などの水塊の優れた再現性を検証した。さらに漁業資源管理分野への応用として、黒潮続流フロント周辺に生息する魚種の卵稚仔の挙動をパッシブな粒子変動としてとらえて追跡し、その生残過程を調べる等の研究に着手した。