平成19年度 地球シミュレータ利用報告会

マントル対流の数値シミュレーション

発表資料 (24MB)

1. プロジェクト名

マントル対流の数値シミュレーション

Numerical simulation of the mantle convection

2. プロジェクト責任者名

深尾 良夫

Yoshio Fukao

3. プロジェクトの目的

諸々の地学現象の原動力であるマントルの活動を支配する物理を解明し、地球進化の過程と地震波などで観測されるマントル内部の構造とを再現するモデルを構築する。

4. 今年度当初の計画

  • A) マントル構成鉱物の相変化、粘性率の温度・物質依存性、プレートが持つ複雑なレオロジー等を組み込んだ部分領域モデルを構築し、これを用いて沈み込んだプレートの挙動を調べる。沈み込んだプレートのマントル遷移層における振舞いに特に注目し、西太平洋地域の沈み込みに特徴的な「スタグナントスラブ」が形成されるメカニズムを解明する。
  • B) 地球進化の初期段階に想定される高温で活発な運動状態を理解するため、非常に高いレイリー数の熱対流を球殻形状で実現し、その特徴を調べる。
  • C) 全球モデルにおいて自発的に沈み込み領域や大陸領域などが形成されるよう降伏応力を設定し、スラブの崩落に伴うパターンの再編について調べる。

5. 今年度得られた成果、および達成度

成果

  • A) 2次元の部分領域モデルにおいて様々な複雑性について系統的に調査し、スタグナントスラブ形成には「海溝後退」と「スラブの形状記憶効果」が重要であることが分かった。さらに、一旦滞留したスラブの崩落には2つのモードが存在することが確認された。
    3次元の部分領域モデルにおいて、沈み込む海洋プレートと沈まない大陸プレートを区別して扱うモデルを構築した。その際3次元モデルの利点を活かすため、海洋プレートの運動方向と海溝軸の形状を任意に設定できるようにした。これにより、湾曲した海溝軸に伴う沈み込みでは、沈み込んだプレートの沈降する速度が非一様となることが分かった。加えて、海溝後退の効果を取り入れることにより、プレートの斜め沈み込みに近い現象を再現することができた。
  • B) 下部加熱の球殻の系でレイリー数が世界最高となる10の9乗台まで実現し、パターンと熱輸送量のレイリー数への依存性を確立した。
  • C) 降伏応力の導入により変形が特定の場所に集中し、プレートテクトニクス的な挙動を自然に生じさせることに成功した。大陸部分の成長と熱源の濃集を組み込んだ。

達成度

A) 80% B) 100% C) 60%