ロケットエンジン内部流れのシミュレーション
Numerical Simulation of Rocket Engine Internal Flows
坪井 伸幸
Nobuyuki Tsuboi
我が国の基幹ロケットであるH-IIAロケットの信頼性向上およびH-IIBロケットなど将来型宇宙輸送システムの開発に資する。主要エンジン要素(燃焼器・ターボポンプ)における熱流体現象を詳細に再現できるCFDコードを開発し、概念設計・成立性評価・不具合対策等に使用し、エンジン試作・試験のサイクルを短縮する。
H-IIAおよびH-IIBロケットのブースタエンジンであるLE-7Aの液体水素ターボポンプにおける非定常流れ特性について詳細なシミュレーションを実施し、その振動低減にむけた検討を実施する。ターボポンプのインデューサ部については、キャビテーションを考慮した非定常解析によって、その振動の動特性を把握するシミュレーションを実施する。また、ターボポンプのインペラ部については、インペラおよびディフューザの動静翼干渉に着目した非定常シミュレーションを実施する。さらに、シミュレーションの更なる高精度化を目指して、計算メッシュの解像度や乱流モデルなどが解析精度に与える影響を検討する。
液体水素ターボポンプのインデューサ部のシミュレーションにおいては、その動的解析手法の確立に成功し、将来的に試験の代替となり得るための足掛かりを得た。また、ターボポンプのインペラ-ディフューザの動静翼干渉においては、ターボポンプ全系の大規模シミュレーションを実施することにより、静圧分布、流れ角分布、さらに振動スペクトル分布において試験と定量的な一致を得ることに成功した。さらに、インペラおよびディフューザを様々な形態における解析を実施し、振動低減の方向性を示す重要な知見を得た。本シミュレーションで得られた知見は今後のLE-7Aエンジンの運用に反映される予定であり、H-IIAおよびH-IIBロケットの開発に大きく貢献することができた。また、メッシュ解像度や乱流モデルと解析精度との関係に関して定量的な知見を得ることができ、今後、条件が変わっても定量的で信頼できる非定常流れ解析を実現できる見通しが得られた。