DEMによる内部構造を持つ複雑多相系の粒子モデル
Particle modeling for complex multi-phase system with internal structures using DEM
阪口 秀 (IFREE/JAMSTEC)
Hide Sakaguchi
本プロジェクトは、粒子性物質が気相、液相、固相と混在している場で, 内部構造を作りながら複雑な振る舞いを示す系に対して、粒子系離散モデル(DEM-Discrete Element Method)と粒子系-連続体カップリングモデルを構築し、複雑多相系現象の解明と解析、予測に役立てることを目的としている。
18年度まで行なってきた血流シミュレーションでは巨視的な流れ場を前提条件として与えて計算を行なっていたが、本年度は微視的な赤血球の挙動が巨視的な血流に与える影響を調べるために,血流をミクロの赤血球流動とマクロの血液流れの2つのスケールでモデル化して相互計算するマルチスケール解析を行なう.これにより,血液の非ニュートン的流動現象の解明につなげる.
血流を微視的な立場から見た赤血球流動と巨視的な立場から見た流体運動という2つの異なるスケールでモデル化し,それらを相互に関連づけて繰り返す血液流動のマルチスケール計算を行なった.計算の結果得られた流速分布は生体内で観察されるものと類似しており,本計算手法は血液の流動特性を検討するのに有効であることが示唆された.また,赤血球の容積率(ヘマトクリット)が血流現象に与える影響について検討したところ,ヘマトクリットは局所的な粘度増減に影響を与え,血流速度分布に大きな変化を齎すことがわかった.
本年度は,血液流動のマルチスケール解析を行なうことにより,微視的な赤血球の相互作用が巨視的な流れに与える影響について検討した.この点は昨年までの赤血球流動のみの解析に比べて進歩した点であり,より生体現象の真理に迫る計算ができた.本年度は予定を達成することができたと考えている.